貯金が続かない

おこづかいで子どもの「待つ力・貯める力」を育てるには? 研究でわかった渡し方の工夫と、年齢別の練習

約10分で読めます 出典照合済み(2026-10-11)

ビー玉
Photo: Joe Mabel / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

おこづかいを渡しても、すぐに使い切ってしまう。そんな悩みを持つ親は少なくありません。研究では、4歳児は「貯めた後のうれしい場面」を想像すると貯める子が増え、8〜10歳では短い話し合いの授業で「一部を先に回す」選択が増えました。おこづかいは、待つ・計画する・貯めるを少しずつ練習する場にできます。

3行でわかる

  1. 米国の4歳児115人の実験では、「貯めたらうれしい未来」を想像した子どもの方が、ビー玉を貯める子が多く、貯めた数も多かった。
  2. イタリアの8〜10歳110人の研究では、話し合いの授業(1時間×3回)の後、「4週間待つと2倍になる箱」に回すカードが増えた。全部か0かの二択では差が出なかった。
  3. おこづかいは「全部使うか、全部貯めるか」ではなく、一部を先に回す練習にする。使い切っても叱らず、次の作戦を一緒に話す。

01 悩みの正体おこづかいをすぐ使い切るのは、なぜ?

子どもがおこづかいをすぐ使い切るのは、先の楽しみを思い浮かべて待つ力が、まだ育つ途中にあるため。5〜10歳の225人の研究では、お金を使うときの気持ちに個人差があり、それが貯めるか使うかの選択と結びついていた。

お金を使うときに「もったいない」と感じやすい子も、ほとんど感じない子もいます。この違いは5歳ごろから測ることができ、貯めるか使うかの選択と結びついていました [3]。すぐ使う子が「だめな子」なわけではありません。

わが子のくせを振り返る質問は子どものお金のくせに気づく記事にまとめました。この記事は、その次の「どう練習するか」の話です。

02 科学的にわかっていること子どもの貯める力は、練習で伸ばせる?

子どもの貯める力は、短い練習で変わることがある。4歳児では貯めた後のうれしい場面を想像すると貯める子が増え、8〜10歳では物語と話し合いの授業で、一部を先に回す選択が増えた。ただし研究の数はまだ多くない。

115人「貯めた後の未来を想像する」練習を試した米国の4歳児の人数。想像した組の方が、貯める子が多かった [1]

Zhang ら(2024)[1]

4歳児を4つの組に分け、ビー玉のゲームの前に紙芝居のような絵を見せた。「将来のために貯めた場面」「貯めなかった場面」を想像した組は、日常の場面を想像した組より、貯める子が多く、貯めた数も多かった(効果は中程度)。「貯めたらうれしい」と想像する方が、「貯めないと困る」と想像するより効果が大きかった。

対象: 米国中西部の4歳児115人 / 限界: 世帯収入の中央値が高い地域の子どもが多く、1回のゲームでの結果である。

Lombardi ら(2021)[2]

小学生に、待つことや分け合うことを題材にした物語を読み、質問をもとに話し合う授業を1時間×3回(約2週間)行った。授業を受けた組は、10枚のカードのうち「4週間待つと2倍になる箱」に入れる枚数が、受けなかった組より増えた。一方、「今1パックか、4週間後に2パックか」の二択では、組の差は出なかった。

対象: イタリア北部の8〜10歳110人(授業あり55人・なし55人) / 限界: 2校の学級単位の研究で、授業の1週間後までしか調べていない。

LeBaron・Kelley(2021)[4]

2010〜2019年の家庭のお金の学びの研究をまとめた。紹介された研究では、子どものころにおこづかいをもらっていた人は、若い大人になってからのお金の心配が少なかった。親が子どもの使い道を知っていることも、大人になってからの健全なお金の行動と結びついていた。

対象: 家庭とお金の学術誌に2010〜2019年に載った研究を中心としたまとめ / 限界: 紹介された結果の多くは調査研究で、おこづかいが原因とまでは言えない。

Benjamin ら(2020)[5]

幼児期に「待つ力」の実験に参加した113人を40代後半で調べた。幼児期の待つ力だけでは、資産や借金などをほぼ予測しなかった(平均の相関0.02)。17・27・37歳の自己コントロールも合わせた指標は、11項目中10項目を予測した(平均の相関0.19)。

対象: 米国スタンフォード大学の付属保育園で1967〜1973年に実験に参加した113人 / 限界: 人数が少なく、97%が4年制大学を卒業しているなど、一般の人を代表していないと著者は述べている。

03 今日からできる小さな一歩待つ力を育てるおこづかいの渡し方は?

待つ力を育てるには、おこづかいを渡すときに①貯めた後のうれしい場面を一緒に想像し、②全部ではなく一部だけを先に回し、③待つ日をカレンダーで見せ、④使った後に短く話す。どれも数分でできる。

研究で試された方法を、年齢ごとに家庭でできる形に置きかえました(年齢は目安)。

年齢の目安研究で試されたこと家での置きかえ例
4歳ごろ貯めた後のうれしい場面を想像すると、貯める子が増えた [1]お菓子を1つ買う前に「来週まで待ったら、何ができるかな」と一緒に絵や言葉にする
5〜7歳ごろお金を使うときの気持ちを、子ども自身が答えられた [3]「使ったとき、うれしかった?もったいなかった?」と気持ちを聞く。正解を求めない
8〜10歳ごろ物語と話し合いの後、一部を4週間先に回す枚数が増えた [2]おこづかいの一部を「4週間後の箱」に入れ、日付をカレンダーに書く
学校で学ぶ年ごろ学校の金融教育の効果は、家でおこづかいや話し合いがある子でやや強い傾向(弱い根拠)[6]学校で習ったことを、その週のおこづかいで1つ試す
1

渡す日と額を決め、同じリズムで渡す

毎週や毎月など、渡す日を決めます。先の予定が見えると、「次の日まで待つ」練習ができます。おこづかいをもらった経験は、大人になってからのお金の心配の少なさと結びついていました [4]。

所要 5分

2

渡すときに「貯めたら何ができるか」を一緒に想像する

「使ったら困るよ」と脅すより、「貯めたら何が買えるか」「そのときどんな気持ちか」を話します。4歳児の実験では、うれしい未来の想像の方が効果が大きかった [1]。

所要 2分

3

全部ではなく「一部だけ」先に回す

「全部貯めるか、全部使うか」の二択にしません。8〜10歳の研究で変化が出たのは、一部を先に回す課題でした [2]。たとえば渡した額を「今使う」「あとで使う」に分けます。袋を分ける考え方は封筒に分けて貯める記事も参考にしてください。

所要 3分

4

待つ日をカレンダーで見せる

研究では、「4週間後」の日をカレンダーで示してから選ばせていました [2]。待つ日に印をつけ、近づくようすを目で見られるようにします。貯まるようすを見せる工夫は貯金の進み具合を見える化する記事にまとめました。

所要 3分

5

使った後に、短い物語のように振り返る

「何を買った?」「待っていたら何が変わった?」と、出来事を順に話してもらいます。研究の授業も、物語と質問をもとに話し合う形でした [2]。

所要 5分

04 続けるためのコツおこづかいの練習を、続けるには?

おこづかいの練習を続けるには、使い切った回を失敗として叱らず、次の作戦を一緒に考える。幼いころの待つ力だけで将来は決まらず、10代以降の自己コントロールも合わせて見る方が、大人のお金の結果とよく結びついていた。

親自身のお金の習慣が子どもに伝わる仕組みは親のお金の習慣の記事、学校や講座での金融教育の効果は金融教育の記事で扱っています。

05よくある質問

おこづかいは何歳から渡すといい?

研究で決まった開始年齢はありません。米国の4歳児115人の実験では、貯めた後のうれしい場面を想像すると貯める子が増えました。少額を短い期間で練習する形なら、幼いころから始めやすいと考えられます。

子どもがおこづかいを全部使ってしまうときはどうすればいい?

叱るより、次の回で「一部だけ」先に回す作戦を一緒に決めてください。8〜10歳の研究では、話し合いの授業の後、一部を4週間先に回す枚数は増えましたが、全部か0かの二択では差が出ませんでした。

おこづかいは定額制とお手伝い制、どちらがいい?

今回確認した研究の範囲では、2つを直接比べた実験は見つかりませんでした。家庭のお金の学びのレビューでは、おこづかいをもらった経験も、自分でお金を稼いだ経験も、その後のお金の行動とよい方向に結びついていました。

小さいころ我慢できない子は、将来お金に困る?

決まるわけではありません。幼稚園のころの待つ力を40代まで追った113人の研究では、幼児期の待つ力だけでは資産や借金をほぼ予測せず(平均の相関0.02)、10代以降の自己コントロールも合わせると予測できました。

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なぜ → 気づく → 工夫する(この記事) → 使う
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出典

  1. Zhang, J., Vohs, K. D., & Carlson, S. M. (2024). Imagining the future improves saving in preschoolers. Journal of Experimental Child Psychology, 246, 105966. https://doi.org/10.1016/j.jecp.2024.105966
  2. Lombardi, E., Valle, A., Rinaldi, T., Massaro, D., & Marchetti, A. (2021). Learning to Wait and Be Altruistic: Testing A Conversational Training in Economic Education for Primary School Children. Europe's Journal of Psychology, 17(4), 306-318. https://doi.org/10.5964/ejop.2453
  3. Smith, C. E., Echelbarger, M., Gelman, S. A., & Rick, S. I. (2018). Spendthrifts and Tightwads in Childhood: Feelings about Spending Predict Children's Financial Decision-Making. Journal of Behavioral Decision Making, 31(3), 446-460. https://doi.org/10.1002/bdm.2071
  4. LeBaron, A. B., & Kelley, H. H. (2021). Financial Socialization: A Decade in Review. Journal of Family and Economic Issues, 42(Suppl 1), 195-206. https://doi.org/10.1007/s10834-020-09736-2
  5. Benjamin, D. J., Laibson, D., Mischel, W., Peake, P. K., Shoda, Y., Wellsjo, A. S., & Wilson, N. L. (2020). Predicting mid-life capital formation with pre-school delay of gratification and life-course measures of self-regulation. Journal of Economic Behavior & Organization, 179, 743-756. https://doi.org/10.1016/j.jebo.2019.08.016
  6. Coda Moscarola, F., & Kalwij, A. (2021). The Effectiveness of a Formal Financial Education Program at Primary Schools and the Role of Informal Financial Education. Evaluation Review, 45(3-4), 107-133. https://doi.org/10.1177/0193841X211042515
  7. Birkenmaier, J., Maynard, B., & Kim, Y. (2022). Interventions designed to improve financial capability: A systematic review. Campbell Systematic Reviews, 18(1), e1225. https://doi.org/10.1002/cl2.1225