衝動買いを後悔したら、返品する?使う?迷いを長引かせない決め方と、後悔の研究

届いた箱を開けた瞬間、「なんで買ったんだろう」と思う。衝動買いの後悔は、多くの人が経験するありふれた気持ちです。大事なのは、自分を責め続けることではなく、「返すか、使うか」を早めに決めて、次の買い物に活かすことです。この記事では、買ったあとの後悔をめぐる研究と、通販の返品ルールをもとに、立て直しの手順を整理します。
3行でわかる
- モノの買い物は「買わなければよかった」という後悔を生みやすい。5つの研究で、体験への出費より、この種の後悔が多かった。
- 写真を選ぶ実験では、「あとで選び直せる」条件の人のほうが、選んだ写真への好感が低かった。この結果から、返品するかどうかは期限を決めて早めに決めるのがよいと考えられる。
- 通販にはクーリング・オフがない。返品特約が書かれていなければ、受け取った日を含めて8日以内なら、送料を自分で負担して返品できる。
01 悩みの正体衝動買いの後悔は、なぜこんなに引きずる?
モノの買い物は、ほかの物と比べやすく「別の選択もあった」と思いやすい。そのため「買わなければよかった」という後悔が起きやすい。
衝動買いが起きる仕組みは衝動買いはなぜ起きるのかで扱いました。この記事は、買ってしまった後の立て直しに絞ります。
02 科学的にわかっていること買った物の後悔は、どうすれば軽くなる?
研究では、取り消せる状態が続くと、選んだ物への満足が下がっていた。また、失敗した自分に思いやりを向けた人のほうが、次に向けて改善しようとする気持ちが強かった。
Rosenzweig と Gilovich(2012)[1]
5つの研究で、モノの買い物は「買わなければよかった」という後悔(買ったことへの後悔)を、旅行などの体験の買い物は「買えばよかった」という後悔(逃した機会への後悔)を生みやすかった。同じ買い物でも、モノとしての面に注目させると、買ったことへの後悔が増えた。
対象: 5つの研究の参加者 / 限界: 参加者の自己報告による研究。モノが他と取り替えやすいと感じられることが理由と考えられている。
Gilbert と Ebert(2002)[2]
写真の講座の受講者に、手元に残す写真を選んでもらった。あとで選び直せる条件の人は、選び直せない条件の人より、選んだ写真への好感が低かった。それでも多くの人は、選び直せる条件を望んだ。
対象: 写真講座の受講者など / 限界: 写真を選ぶ実験で、実際の買い物の返品で確かめたものではない。
Breines と Chen(2012)[3]
4つの実験で、失敗のあとに自分へ思いやりを向けるよう促された人は、自尊心を高める言葉をかけた人などに比べて、自分の弱点を直そうとする気持ちや、同じ過ちを繰り返さないようにしようとする気持ちが強かった。難しいテストに失敗したあと、次の勉強に使った時間も長かった。
対象: 4つの実験の参加者 / 限界: お金の失敗そのものを扱った研究ではない。
03 今日からできる小さな一歩衝動買いを後悔したら、まず何をする?
衝動買いを後悔したら、①返品できるかを今日中に確かめ、②「いつまでに決めるか」を決め、③返すか使うかを選んだら迷いを閉じる。返品できるかは、通販なら広告の返品特約で決まる。
返品できるかを今日中に確かめる
通販にはクーリング・オフがありません。注文画面や広告の「返品特約」を確認します。特約が書かれていなければ、受け取った日を含めて8日以内は、送料を自分で負担して返品できます[4][5]。
所要 10分
「決める日」を先に決める
返品の期限より前に、「〇日の夜に決める」と日付を決めます。取り消せる状態を長引かせないためです。迷う間はタグや箱を残しておきます。
所要 1分
下の表で「返す」「使う」を選び、選んだら迷いを閉じる
返すなら手続きをすぐ済ませます。使うと決めたら、使う場面を1つ決めて、比較サイトやレビューを見返すのをやめます。
所要 15分
「どんなときに買ったか」を1行で残す
「夜11時、疲れてスマホを見ていた」など、状況を書きます。責めるためではなく、次に同じ場面が来たときの目印にします。
所要 2分
| 確かめること | 「返す」に傾くとき | 「使う」に傾くとき |
|---|---|---|
| 返品できるか | 返品特約で認められている、または特約がなく8日以内 | 「返品不可」と書かれている |
| 使う場面 | 1か月以内に使う場面が思い浮かばない | 使う日や場面を具体的に言える |
| 似た物 | 家に同じ役割の物がすでにある | 持っている物の代わりになる |
| 返品の手間と費用 | 送料を払っても、手元に残すより納得できる | 送料や手間が、商品の値段に比べて大きすぎる |
表は研究ではなく、返品ルールと上の研究をもとに作った目安です。どちらを選んでも、決めたあとは迷いを閉じることを優先します。
消費者ホットライン(188): 返品を断られた、広告と届いた物が違う、定期購入だと知らなかったなど、通販のトラブルは近くの消費生活センターを案内してもらえます[6]。
04 続けるためのコツ同じ後悔を繰り返さないには、どうする?
同じ後悔を繰り返さないためには、責めるより記録する。買った状況のメモがたまったら、そこに共通する場面に先回りの工夫を置く。
- 自分にかける言葉を変える。「またやった」より「誰にでもある失敗。次はどうする?」と声をかけるほうが、改善に向かいやすいという研究があります。
- メモが3つたまったら共通点を探す。時間帯、気分、見ていたアプリなどに共通点があれば、そこが工夫のポイントです。ネットの衝動買いを減らす5つの工夫から合うものを選びます。
- 「返品できるから買う」をやめる。取り替えられる状態は、かえって満足を下げることがあります。迷った物はカートに入れたまま翌日まで待ち、買うと決めてから注文します。
- 繰り返してしまうなら、くせを確かめる。減らそうとしても減らせない、と感じるときは衝動買いのくせの振り返りで確かめてください。
05よくある質問
ネット通販で買った物は、クーリング・オフできる?
できません。通販には法律上のクーリング・オフがなく、返品できるかは広告の返品特約で決まります。特約が書かれていなければ、受け取った日を含めて8日以内なら、送料を自分で負担して返品できます。
衝動買いを後悔したとき、返品と我慢はどちらがいい?
どちらが正しいかは物によります。研究では、取り消せる状態が続くと満足しにくかったので、期限を決めてどちらかに決め、決めたら迷いを閉じることが大切です。
買った物を後悔して落ち込むのは、おかしい?
おかしくありません。モノの買い物は他の物と比べやすく、「買わなければよかった」と感じやすいことが研究で示されています。責めるより、どんな状況で買ったかを記録するほうが次に活かせます。
返品を断られたら、どうすればいい?
広告に返品特約がなく受け取りから8日以内なのに断られた、届いた物が説明と違うなどの場合は、消費者ホットライン188に電話して近くの消費生活センターに相談してください。
出典
- Rosenzweig, E., & Gilovich, T. (2012). Buyer's remorse or missed opportunity? Differential regrets for material and experiential purchases. Journal of Personality and Social Psychology, 102(2), 215-223. https://doi.org/10.1037/a0024999
- Gilbert, D. T., & Ebert, J. E. J. (2002). Decisions and revisions: The affective forecasting of changeable outcomes. Journal of Personality and Social Psychology, 82(4), 503-514. https://doi.org/10.1037/0022-3514.82.4.503
- Breines, J. G., & Chen, S. (2012). Self-compassion increases self-improvement motivation. Personality and Social Psychology Bulletin, 38(9), 1133-1143. https://doi.org/10.1177/0146167212445599
- 国民生活センター「通信販売はクーリング・オフできません」 https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen471.html
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売で商品を購入したが組み立てられないので返品したい。」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/case/mailorder/case01.html
- 消費者庁「消費者ホットライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/


