貯金が続かない

手元の貯金、生活費の何か月分ある?「すぐ使えるお金」を数える計算表と、心の余裕の研究

約7分で読めます 出典照合済み(2026-10-11)

トラックの形をした貯金箱
Photo: Noah Wulf / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

「貯金はあるけれど、これで足りているのかわからない」。そう感じる人は少なくありません。手元の貯金が生活費の何か月分あるかは、すぐ使える預金を、毎月どうしても出ていく生活費で割ると出せます。この記事では、その計算表と、何か月分を目標にするかの決め方を、研究とあわせてまとめました。

3行でわかる

  1. 手元の貯金の「月数」は、すぐ使える預金÷毎月どうしても出ていく生活費で出せる。60万円÷月20万円なら3か月分。
  2. 英国の銀行利用者585人の研究では、すぐ使える預金が多い人ほど家計の安心感が高く、それが生活の満足度の高さにつながっていた。投資や支出、借金を考えに入れても残った。
  3. 米国の研究では、蓄えが5,000ドル未満の人は10万ドル以上の人に比べ、うつ・不安の兆候が出るオッズが2倍を超えていた。ただしどれも相関の研究で、貯金が原因とまでは言えない。

01 悩みの正体貯金があっても不安が消えないのはなぜ?

貯金があっても不安が消えないのは、「いくらあるか」は知っていても、「それで何か月暮らせるか」に置き換えていないことが多いから。金額のままでは、足りているかを判断する物差しがない。

50万円という金額は、生活費が月15万円の人と月30万円の人とでは、まったく違う意味になります。金額を「月数」に直すと、自分の備えの大きさが初めて比べられる形になります。

貯金が続かない、崩してしまうという悩みは、先取り貯金の研究や貯金を崩した後の立て直し方で扱いました。この記事は、今ある貯金を「数える」ための道具です。

02 科学的にわかっていることすぐ使えるお金は、心の余裕と関係がある?

関係がある。英国の研究では、普通預金などすぐ使えるお金が多い人ほど家計の安心感が高く、生活の満足度も高かった。米国の研究でも、蓄えが少ない人ほど、うつや不安の兆候が多かった。

585人英国の銀行利用者の口座残高と、生活の満足度の回答を組み合わせて調べた研究の人数 [1]

Ruberton・Gladstone・Lyubomirsky(2016)[1]

普通預金と当座預金の残高(すぐ使えるお金)が多い人ほど、自分の家計を良い状態だと感じていた。その感じ方が、生活の満足度の高さにつながっていた。投資、支出の合計、借金の額を考えに入れても、この関係は残った。

対象: 英国の銀行の利用者585人。銀行が持つ口座の記録と、本人の回答を組み合わせた / 限界: 一時点の調査で、すぐ使えるお金が満足度を高めたという因果までは示していない。

Ettman ら(2024)[2]

蓄え(現金・預金に加え、株や年金なども含む)が5,000ドル未満の人は、10万ドル以上の人に比べ、うつの兆候のオッズが2.19倍、不安の兆候のオッズが2.05倍だった。蓄えの額を考えに入れると、世帯の年収は不安の兆候と関係していなかった。

対象: 米国の全国を代表する成人のパネル調査。2020〜2023年に4回調べた1,296人 / 限界: 観察研究で、うつ・不安は質問票による兆候の判定。蓄えには投資や年金も含まれる。

Ettman ら(2024)[3]

2020〜2022年の米国で、年収と蓄えの多い・少ないで4つの組に分けると、うつの可能性がある人の割合は、年収が多くても蓄えが少ない組で24.3%、年収が少なくても蓄えが多い組で19.4%だった。

対象: 米国の成人1,271人。年収6万5,000ドル以上、蓄え2万ドル以上を「多い」とした / 限界: 観察研究。新型コロナの流行期のデータ。

年収と蓄えの組 [3]うつの可能性がある人の割合
年収が少ない・蓄えが少ない42.9%
年収が多い・蓄えが少ない24.3%
年収が少ない・蓄えが多い19.4%
年収が多い・蓄えが多い14.0%

Bufe ら(2022)[4]

米国の低・中所得の3,911人を2回調べた。すぐ使えるお金が中央値以下の人は、急な出費のあと家計の安心感の点数が2.4点下がった。中央値より多い人では、はっきりした低下は見られなかった(2つの組の差そのものは、はっきりしたものではない)。

対象: 2018年に税申告ソフトを使った米国の低・中所得の人。すぐ使えるお金の中央値は約2,750〜2,930ドル / 限界: 調査データ。何か月分あればよいかまでは示していない。

03 今日からできる小さな一歩手元の貯金が何か月分か、どう計算する?

手元の貯金の月数は、①すぐ使える預金の合計を出し、②毎月どうしても出ていく生活費を出し、③①を②で割ると出せる。生活費は「使っている額」ではなく「削れない額」で数える。

まず、自分の数字を入れる表です。右の列は計算のしかたを示す例で、平均ではありません。

項目入れるもの例
A すぐ使える預金普通預金など、数日以内に引き出せるお金の合計。投資や定期の解約が必要なお金は入れない60万円
B 固定費家賃、光熱費、通信費、保険料、ローンの返済など毎月決まって出ていく額12万円
C 削れない変動費食費や日用品のうち、切り詰めても必要な額6万円
D 毎月の生活費B+C18万円
E 手元の貯金の月数A÷D約3.3か月分

次は、生活費ごとに「何か月分でいくらになるか」の早見表です。目標の額を決めるときに使います。

毎月の生活費1か月分3か月分6か月分
10万円10万円30万円60万円
15万円15万円45万円90万円
20万円20万円60万円120万円
25万円25万円75万円150万円
1

Aを数える

通帳やアプリで、普通預金の残高を足します。すぐ引き出せないお金は、ここでは入れません。

所要 5分

2

BとCを出す

先月の明細から固定費を書き出し、食費などは「これ以下にはしにくい額」を見積もります。家計簿がなくても、引き落としの明細で足ります。

所要 15分

3

月数を出して、目標を1つ決める

A÷Dで今の月数を出します。下のチェック表を見て、目標の月数を決め、早見表で金額にします。

所要 5分

04 続けるためのコツ目標は何か月分にすればいい?

目標の月数に、研究で決まった正解はない。収入が止まりやすいか、頼れる人がいるかなど、自分の状況で決める。当てはまる項目が多いほど、多めの月数を目標にすると考えやすい。

05よくある質問

手元の貯金は、生活費の何か月分あればいい?

研究で決まった正解の月数はありません。収入が不安定、1人で家族を支えている、頼れる人がいないといった条件が多いほど、多めの月数を目標にすると考えやすくなります。まず1か月分を目標にし、届いたら次を決める方法もあります。

貯金の月数の計算に、投資のお金は入れていい?

この記事の計算表では入れません。急な出費のときに数日で引き出せる預金だけを数えます。英国の研究で生活の満足度と結びついていたのも、普通預金や当座預金などのすぐ使えるお金でした。

収入が多ければ、貯金が少なくても大丈夫?

研究では、収入だけで安心が決まるわけではありませんでした。米国の調査では、年収が多くても蓄えが少ない組の24.3%にうつの可能性があり、年収が少なくても蓄えが多い組の19.4%より高い割合でした。ただし相関の研究で、原因までは言えません。

生活費は、毎月使っている額で計算するの?

この記事では「削れない額」で計算します。固定費に、食費などの切り詰めても必要な額を足したものです。毎月使っている額で計算すると、今の貯金で暮らせる月数が少なめに出ます。

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出典

  1. Ruberton, P. M., Gladstone, J., & Lyubomirsky, S. (2016). How your bank balance buys happiness: The importance of "cash on hand" to life satisfaction. Emotion, 16(5), 575-580. https://doi.org/10.1037/emo0000184
  2. Ettman, C. K., Thornburg, B., Abdalla, S. M., Meiselbach, M. K., & Galea, S. (2024). Financial assets and mental health over time. Scientific Reports, 14, 27370. https://doi.org/10.1038/s41598-024-76990-x
  3. Ettman, C. K., Cohen, G. H., Abdalla, S. M., Hatton, C. R., Castrucci, B. C., Bork, R. H., & Galea, S. (2024). Depression and assets during the COVID-19 pandemic: A longitudinal study of mental health across income and savings groups. PLoS One, 19(6), e0304549. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0304549
  4. Bufe, S., Roll, S., Kondratjeva, O., Skees, S., & Grinstein-Weiss, M. (2022). Financial Shocks and Financial Well-Being: What Builds Resiliency in Lower-Income Households? Social Indicators Research, 161(1), 379-407. https://doi.org/10.1007/s11205-021-02828-y