貯金が続かない

貯金を崩してしまったら、どう立て直す?使った理由の仕分けと「新しいスタート」の日から再開する研究

約7分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

壁に掛けた月ごとのカレンダー
Photo: Claudio Elias / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

貯金を崩してしまうと、「今までの分が台無しになった」と感じやすいものです。けれど、急な出費に使ったのなら、貯金は役目を果たしました。立て直しは、使った理由を3つに仕分け、区切りの日を再開日に決め、「〇円貯める」の形で目標を書き直す、の順で進めます。

3行でわかる

  1. まず使った理由を「急な出費」「収入が減った」「使いすぎ」の3つに仕分ける。理由ごとに次の一手が違う。
  2. 米国の大学職員6,082人の実験では、積立を増やす時期を誕生日や春の始まりなどの「区切り」で示すと、その時期に増やすことを選ぶ人が増え、8か月の積立率も上がった。
  3. 再開の目標は「使わない」ではなく「〇円貯める」の形で書く。1年後に続いていた人の割合は、近づく形の目標で58.9%、避ける形で47.1%だった。

01 悩みの正体貯金を崩すと、なぜ「もう無理」と感じる?

貯金を崩したときに「もう無理」と感じやすいのは、取り崩しを「失敗」と数えてしまうから。実際には、急な出費を借金なしで払えたなら、貯金は本来の役目を果たしている。

貯金には、目標のために「ためる」役目と、いざというときに「守る」役目があります。守る役目で使ったお金まで失敗と数えると、続ける意味を見失いやすくなります。

この記事は、崩した後の立て直しが中心です。貯金が続きにくい理由そのものは将来の自分のために貯金できない理由で、続く人の違いは目標設定の研究で読めます。

02 科学的にわかっていること貯金を崩した後、研究で立て直しに役立つことは?

研究からは3つのことがわかっている。手元の貯金が少ないと、急な出費で家計の安心感が下がりやすい。再開の時期は「区切りの日」で決めると動きやすい。目標は「〇円貯める」のような近づく形の方が続きやすい。

Bufe ら(2022)[1]

米国の低・中所得の3,911人を2回調べた。急な出費があった人は、家計の安心感の点数が下がった。ただ、はっきり下がったのは手元の貯金が中央値より少ない人で、多い人でははっきりした低下は見られなかった(2つの組の差そのものは、はっきりしたものではない)。一方、仕事や収入が減ったときの落ち込みは、急な出費の2倍以上大きく、貯金が多い人でもはっきり下がっていた。

対象: 2018年に税申告ソフトを使った米国の低・中所得の人(約半年の間隔で2回調査) / 限界: 調査データで、学生や単身者が多い。日本の家計にそのまま当てはまるとは限らない。

Beshears ら(2021)[2]

米国の4つの大学の職員6,082人に、退職後のための積立を「今すぐ」か「先の時期」に増やせる案内を郵送した。先の時期を誕生日・新年・春の始まりといった区切りで示すと、「2か月後」のように月数で示した場合より、その時期に増やすことを選ぶ人が増えた(2.6%に対し1.3〜1.4ポイント多い)。感謝祭などの祝日で示した場合と比べても多かった。今すぐ増やす人は減らず、その後8か月の積立率も、給料の平均0.73%に対して0.17〜0.19ポイント高かった。

対象: 2013年10月に案内を受け取った、積立に未加入か少なめの大学職員 / 限界: 退職後のための積立での結果で、ふだんの貯金にも同じ効果があるかは確かめられていない。

58.9%「〇〇を始める」という近づく形の目標を立てた人のうち、1年後に続いていると答えた割合。「〇〇をやめる」という避ける形では47.1%だった(スウェーデンの一般の人の実験)[3]

Oscarsson ら(2020)[3]

スウェーデンの一般の1,066人が新年の目標を立て、1年間追跡された。「〇〇を始める」「〇〇を増やす」という近づく形の目標の人は58.9%が続いていたと答え、「〇〇をやめる」という避ける形の人の47.1%より多かった。お金に関する目標を立てた人もいた。

対象: 2016年12月に募集した18歳以上の人(比べた人数は730人) / 限界: 続いたかどうかは本人の申告で、実際の行動は確かめていない。お金の目標だけを取り出した結果ではない。

03 今日からできる小さな一歩貯金を崩した後、何から手をつければいい?

貯金を崩した後は、使った理由を3つに仕分け、残高を確かめ、区切りの日を再開日に決める。この3つで15分ほど。全額をすぐ戻そうとしなくてよい。

まず、下の表で使った理由を1つ選びます。理由によって、次の一手が違います。表の「次の一手」は、上の研究をもとにこの記事で整理したものです。

使った理由例次の一手
急な出費家電や車の修理、病院代、冠婚葬祭貯金が役目を果たした場面。責めずに、区切りの日から積立を再開する [1]
収入が減った失業、勤務時間の減少、休職貯金が多い人でも、家計の安心感ははっきり下がっていた [1]。積立の再開より先に、生活費の見直しと公的な相談先を使う
使いすぎ買い物、旅行、付き合いが重なった何に使ったかを1行で書き出す。同じ出費が続くなら、その出費の記事も合わせて読む
1

使った額と理由を1行で書く

「〇月〇日、〇円、冷蔵庫の買い替え」のように書きます。理由は上の表の3つから選びます。複数あれば、額の大きい方を選びます。

所要 5分

2

今の残高と「これ以上は下げない額」を決める

口座の残高を確かめ、ここより下には崩さないという額を自分で決めます。その額を下回りそうなら、次の出費は払い方や時期を考え直す合図にします。

所要 5分

3

区切りの日を再開日にする

次の給料日、月初め、誕生日など、自分が「ここから」と思える日をカレンダーに書きます。積立額は、崩す前より少なくてかまいません。

所要 3分

4

目標を「〇円貯める」の形で書き直す

「もう崩さない」ではなく、「次の誕生日までに〇万円貯める」のように書きます。近づく形の目標の方が、1年後に続いていた人が多かったためです [3]。

所要 2分

04 続けるためのコツ崩した貯金を戻すまで続けるには?

崩した貯金を戻すまで続けるコツは、少ない額で再開して自動にすること。収入が減って崩しているときは、貯金を戻すより先に、公的な相談窓口で生活の立て直しを考える。

05よくある質問

貯金を崩してしまったら、もう貯金は向いていない?

そうとは言えません。急な出費に使ったなら、貯金は役目を果たしています。米国の低・中所得の3,911人の調査では、手元の貯金が中央値より少ない人では急な出費のあと家計の安心感がはっきり下がり、多い人でははっきりした低下は見られませんでした(2つの組の差そのものは、はっきりしたものではありません)。立て直しは、使った理由を仕分けて、区切りの日から再開すれば十分です。

貯金の再開は、いつから始めるのがいい?

誕生日・月初め・給料日・季節の変わり目など、自分にとって「区切り」と感じる日がおすすめです。米国の大学職員6,082人の実験では、積立を増やす時期を誕生日や新年などの区切りで示すと、そうでない示し方より、その時期に増やすことを選ぶ人が増えました。ただし、区切りを待つ間に生活費が足りないなら、先に生活の立て直しを優先します。

取り崩した分は、すぐに全額を戻すべき?

すぐに全額を戻す必要はありません。急いで戻そうとして生活費が足りなくなると、カードの後払いや借入れに頼りやすくなります。崩す前より少ない額で積立を再開し、続いたら少しずつ増やす方が現実的です。

収入が減って貯金を崩し続けているときは、どこに相談できる?

仕事や収入が減って生活が苦しいときは、お住まいの自治体の自立相談支援機関(生活困窮者自立支援制度の窓口)に相談できます。借金の返済が苦しい場合は、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)で使える制度や窓口を案内しています。

「貯金」を順に読む
なぜ → 工夫する → やってしまったら(この記事)
この悩みのガイドを見る

出典

  1. Bufe, S., Roll, S., Kondratjeva, O., Skees, S., & Grinstein-Weiss, M. (2022). Financial Shocks and Financial Well-Being: What Builds Resiliency in Lower-Income Households? Social Indicators Research, 161(1), 379-407. https://doi.org/10.1007/s11205-021-02828-y
  2. Beshears, J., Dai, H., Milkman, K. L., & Benartzi, S. (2021). Using Fresh Starts to Nudge Increased Retirement Savings. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 167, 72-87. https://doi.org/10.1016/j.obhdp.2021.06.005
  3. Oscarsson, M., Carlbring, P., Andersson, G., & Rozental, A. (2020). A large-scale experiment on New Year's resolutions: Approach-oriented goals are more successful than avoidance-oriented goals. PLOS ONE, 15(12), e0234097. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0234097
  4. 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html
  5. 法テラス「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudanmadoguchi-houseido/support-dial.html