お金の使い方、満足につながっている?「何に使ったか」を2つの質問で採点する振り返り表と研究

お金の使い方が満足につながっているかは、先月の支出を1件ずつ「どれくらい幸せになった?」「人生の幸せにどれくらい役立った?」の2問で採点すると見えてきます。7か国の200人が1万ドルを使い切った研究で、実際に使われた質問です。満足の高い使い方ができた人ほど、その後の幸福感も上がっていました。節約のためではなく、自分に合う使い道を知るための振り返りです。
3行でわかる
- 7か国の200人に1万ドルを渡した研究では、3,083件の支出を2つの質問(1〜5点)で採点した。寄付、贈り物、体験に加え、自分のケアや学びへの支出も満足が高かった。
- 支出の満足が高かった人ほど、使い終えた時点と数か月後の幸福感がより大きく上がっていた。
- 何が満足につながるかは人によって違う。「自分らしい」と思える買い物ほど、自分で選んだ感覚と感謝が高かった。
01 悩みの正体お金を使っても満足できないのは、なぜ気づきにくい?
支出は金額では記録しても、どれだけ満足したかは記録しないことが多いからだ。研究では、1件ずつ満足を採点すると、使い道による違いが見えてきた。
お金と幸福の関係そのものはお金の使い方で幸福度は変わるのかで扱いました。この記事は、自分の使い方を振り返る方法に絞ります。
02 科学的にわかっていること満足につながりやすい使い方には、どんな傾向がある?
体験、人のため、自分のケアや学びへの支出は満足が高い傾向があった。ただし、何が合うかは価値観や暮らしで変わるため、自分の点数で確かめるのが確実だ。
Stenlund ら(2024)[1]
7か国の200人が1万ドルを受け取り、3か月で使い切った。支出のたびに「どれくらい幸せになったか」「人生全体の幸せにどれくらい役立ったか」を1〜5点で答えた。寄付、贈り物、体験への支出は満足が高く、ジムやスキンケアなどの自分のケアや、講座や教習所などの学びへの支出も高かった。満足が高かった人ほど、使い終えた時点(b=0.35)と数か月後(b=0.23)の幸福感がより大きく上がっていた。
対象: インドネシア、ケニア、米国、英国など7か国の200人、3,083件の支出 / 限界: 使い道は自分で選んでおり、使い道が満足を生んだとは言い切れない。分析は探索的なもの。
Puente-Diaz ら(2022)[2]
3つの実験で、体験への支出(旅行や食事など)を思い出した人は、物の購入を思い出した人より「自分で選んだ」という感覚が強く、それが感謝の気持ちにつながっていた。4つ目の実験では、「本当に自分らしい」と思える買い物を思い出した人も、ふつうの買い物より「自分で選んだ」感覚が強かった。
対象: メキシコの大学生や消費者(4つの実験) / 限界: 過去の買い物を思い出して答える実験で、実際の満足を長く追ったものではない。
Gladstone ら(2024)[3]
合計2,920人の4つの研究で、楽しみのための支出の「種類の多さ」を調べた。種類が多い人ほど、楽しみへの支出の合計額などを考えに入れても、幸福感が高かった。実験では、同じことの繰り返しより、いろいろな楽しみに使う方が幸せにつながると答えた人が多かった。
対象: 英国の銀行の記録を含む4つの研究の2,920人 / 限界: どちらが原因かを調べた分析では、結果が分かれた。
Peng と Li(2026)[4]
20〜78歳の米国の201人と中国の212人で、体験と物のどちらを高く評価するかを調べた。中国では、新しいことへの開かれた気持ちなどの価値観が弱い人ほど、年齢が上がると体験を高く評価しにくかった。米国では年齢による差は見られなかった。
対象: 米国201人、中国212人 / 限界: 1回の調査で、同じ人の変化を追ったものではない。
03 今日からできる小さな一歩自分のお金の使い方を、どう振り返る?
先月の支出を5〜10件書き出し、研究で使われた2つの質問で1〜5点をつける。次に、下の8つの質問で使い道の種類を確かめ、点数の高い種類と低い種類を見比べる。
研究の質問や結果を参考に作った振り返りです。何点以上なら良い、という基準は研究にありません。点数は自分の中で比べるために使います。
| 質問 | 見方 | 参考にした研究 |
|---|---|---|
| 1. それで、どれくらい幸せになった?(1〜5点) | 研究で使われた質問。直後の気分だけでなく、今思い返して答える | Stenlund ら [1] |
| 2. 人生全体の幸せに、どれくらい役立った?(1〜5点) | 研究で使われた質問。1と合わせて平均を出す | Stenlund ら [1] |
| 3. それは体験(旅行・食事・イベント)だった? | 体験への支出は満足が高い傾向があった | Stenlund ら [1]、Puente-Diaz ら [2] |
| 4. 誰かのため(贈り物・寄付)だった? | 寄付と贈り物は満足が高い傾向があった | Stenlund ら [1] |
| 5. 自分のケアや学び(運動・講座など)だった? | これまであまり注目されなかったが、満足が高かった | Stenlund ら [1] |
| 6. 「自分らしい」と思える買い物だった? | 自分で選んだ感覚と感謝につながっていた | Puente-Diaz ら [2] |
| 7. 楽しみのための支出は、同じものばかりになっていない? | 種類が多い人ほど幸福感が高い傾向があった | Gladstone ら [3] |
| 8. 人に見せたり話したりするために選んでいない? | 使い道を公表する役に割り当てられた人は、贈り物や寄付からの満足が低かった | Stenlund ら [1] |
記入例です。数字は説明のための例で、研究のデータではありません。
| 支出 | 質問1 | 質問2 | 平均 | 種類 |
|---|---|---|---|---|
| 友人との食事 4,000円 | 5 | 4 | 4.5 | 体験 |
| 母の誕生日の花 3,000円 | 4 | 4 | 4.0 | 人のため |
| オンライン講座 5,000円 | 3 | 4 | 3.5 | 学び |
| セールの服 6,000円 | 2 | 1 | 1.5 | 物 |
先月の支出を5〜10件書き出す
家賃や光熱費などの決まった支払いは除き、自分で選んで使ったものを明細から選びます。
所要 10分
質問1と2で、1〜5点をつけて平均を出す
「どれくらい幸せになったか」「人生の幸せにどれくらい役立ったか」に答えます。金額の大きさは気にせず、正直につけます。
所要 5分
質問3〜8で種類を書き、高い順に並べる
平均の高い支出と低い支出に、どんな共通点があるかを1行メモします。
所要 5分
04 続けるためのコツ振り返った後は、使い方をどう変えればいい?
点数の高かった種類を来月少し増やし、低かった種類を1つ減らす。研究の傾向より自分の点数を優先し、同じ振り返りを月に1回くり返す。
- 研究の「平均」より、自分の点数を優先する。体験を好むかどうかは、国や価値観、年齢で変わっていました[4]。物の購入が高い点数になっても、それがあなたに合う使い道です。
- 点数の低い支出は、責めずに1つだけ減らす。減らした分を、点数の高かった種類に回すと、使い方を自分で選んでいる感覚が持てます。
- 楽しみは種類を散らす。同じご褒美ばかりだと満足が続きにくい理由はご褒美の繰り返しの研究で詳しく扱っています。
- 時間を生む支出も候補に入れる。家事の外注などで時間を買う使い方は「時間かお金か」の研究が参考になります。
05よくある質問
自分のお金の使い方が満足につながっているか、どう確かめる?
先月の支出を5〜10件書き出し、「どれくらい幸せになったか」「人生全体の幸せにどれくらい役立ったか」を1〜5点で採点します。7か国200人の研究で使われた質問です。平均の高い支出と低い支出を見比べると、自分に合う使い道がわかります。
物より体験にお金を使う方が幸せになれるの?
体験への支出は満足が高い傾向が多くの研究で見られます。ただし、年齢や価値観で体験の好みが変わった研究もあり、全員に当てはまるわけではありません。自分の点数で確かめるのが確実です。
満足度の高い使い方をすると、幸福感も変わる?
関係が見られています。1万ドルを使った7か国の研究では、支出の満足が高かった人ほど、使い終えた時点と数か月後の幸福感がより大きく上がっていました。ただし使い道は自分で選んでいたため、原因と結果は言い切れません。
出典
- Stenlund, S., Guo, Y., Rights, J., Dwyer, R., & Dunn, E. (2024). How spending decisions shape happiness in everyday life. Communications Psychology, 2, 124. https://doi.org/10.1038/s44271-024-00166-6
- Puente-Diaz, R., & Cavazos-Arroyo, J. (2022). Experiential purchases and feeling autonomous: Their implications for gratitude and ease of justification. Frontiers in Psychology, 13, 1033630. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.1033630
- Gladstone, J. J., Ruberton, P. M., Margolis, S., & Lyubomirsky, S. (2024). Does variety in hedonic spending improve happiness? Testing alternative causal mechanisms between hedonic variety and subjective well-being. BMC Psychology, 12, 98. https://doi.org/10.1186/s40359-024-01599-8
- Peng, H., & Li, T. (2026). To Possess or to Experience: Personal Values and Sociocultural Context Moderated Age Differences in Purchase Evaluations. International Journal of Psychology, 61(1), e70147. https://doi.org/10.1002/ijop.70147


