宝くじやギャンブルをつい続けてしまうのはなぜか。「惜しい外れ」と収入比較の研究

当たらないとわかっていても、つい宝くじを買ってしまう。前回はあと1つで当たりだったから、次こそはと思ってしまう。そんな経験はないでしょうか。研究では、自分の収入を低く感じるときほど宝くじを買いたくなることや、「惜しい外れ」が続けたい気持ちを強めることがわかっています。
3行でわかる
- 収入の低い人を対象にした実験では、自分の収入がほかの人より低いと感じさせられた人ほど、宝くじを買っていた。
- スロットの実験では、当たりに近い「惜しい外れ」は、はっきりした外れより不快に感じられたにもかかわらず、続けたい気持ちを強めていた。
- 惜しい外れは、実際にはお金をもらっていないのに、お金を得たときと同じ脳の報酬の部分を働かせていた。
01「当たるかもしれない」が、人を引きつける
宝くじやギャンブルは、平均すると払ったお金より戻ってくるお金の方が少ない仕組みです。それでも続けてしまうのは、「当たるかもしれない」という期待と、「惜しかった」という感覚が人を強く引きつけるためです。
日本の宝くじでは、総発売額から当せん金や経費を除いた約40%が、自治体の収益金として配分されます。買ったお金の一部は、当せん金ではなく、自治体の事業や経費に回る仕組みです。
アメリカの州の宝くじも、買った金額1ドルに対して戻ってくるのは平均53セントほどだとされています。それでも宝くじは、収入の少ない人ほど多く買う傾向があることが知られています。
研究者は、宝くじが「誰にでも平等にチャンスがある」唯一の方法のように感じられることや、「惜しい」という感覚が、人を引きつける理由になっていると考えています。
02研究でわかっていること
自分の収入が低いと感じるほど宝くじを買いたくなり、「惜しい外れ」は脳の報酬の部分を働かせて、続けたい気持ちを強めていました。
Haisleyら(2008)[1]
収入の低い人を対象にした2つの実験。自分の収入がほかの人より低いと感じるように誘導された人ほど、宝くじを買っていた。また、お金持ちも貧しい人も宝くじでは同じチャンスがあることを意識させると、買う枚数が増えた。
対象: 収入の低い参加者による2つの実験 / 限界: 実験の場面で、実生活での長期的な購入を調べたものではない。
Clarkら(2009)[2]
簡単なスロットマシンの課題で、当たりに近い「惜しい外れ」と、はっきりした外れを比べた。惜しい外れは、はっきりした外れより不快に感じられたが、続けたい気持ちを強めていた。この効果は、自分で賭け方を選べたときに見られた。惜しい外れは、お金を得たときと同じ脳の報酬の部分を働かせていた。
対象: スロット課題の実験参加者 / 限界: 実験室の簡単な課題で、実際のギャンブルとは条件が異なる。
Liら(2025)[3]
中国のスポーツくじの購入者600人を調べた。不適切な宣伝に触れている人ほど、くじによる被害が大きく、その一部は、やめられない傾向や問題のある買い方を通じて説明された。「責任を持って買う」という考えを持つ人では、その影響が弱まっていた。
対象: 中国のスポーツくじ購入者600人 / 限界: 一時点の調査。
静岡市[4]
宝くじの総発売額から当せん金や所要経費を除いた約40%が、収益金として自治体に配分されると説明している。
対象: 自治体による宝くじの仕組みの説明 / 限界: 当せん金の割合は年度によって変わる。
03今日からできる小さな一歩
宝くじやギャンブルを楽しむなら、「娯楽費」として予算を決め、取り戻そうとしないことが大切です。
「娯楽費」として月の上限を決める
宝くじやギャンブルに使うお金を、映画や外食と同じ娯楽費として、月の上限を決めます。
所要 5分
「惜しかった」と感じたら、その日はやめる
惜しい外れは、続けたい気持ちを強めることがわかっています。「次こそは」と感じたら、その日はやめる合図にします。
所要 数秒
負けを取り戻そうとしない
負けた分を取り返そうとして賭け金を増やすのは避けます。使ったお金は娯楽費として区切ります。
所要 判断するだけ
04続けるためのコツ
宝くじやギャンブルは、楽しみとして予算の範囲で付き合うものです。お金の不安から抜け出す手段として期待しすぎないようにしましょう。
- お金に不安があるときほど、宝くじに期待したくなることがあります。そう感じたら、家計の見直しなど別の方法を考えます。
- 使った金額と当たった金額を1年分記録すると、実際の収支が見えてきます。
- 買う場所や時間を決めておくと、ついで買いを防げます。
- ギャンブルがやめられない、借金をしてしまったというときは、消費生活センター(188)や各地の精神保健福祉センターに相談できます。
05よくある質問
宝くじやギャンブルについて、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
宝くじはどれくらい戻ってくるの?
日本の宝くじでは、総発売額から当せん金や経費を除いた約40%が自治体の収益金になります。買ったお金のすべてが当せん金として戻るわけではありません。
収入が少ない人ほど宝くじを買うのはなぜ?
研究では、自分の収入がほかの人より低いと感じるほど、宝くじを買いたくなっていました。誰にでも平等にチャンスがあると感じられることも関係していると考えられています。
「惜しい」外れがあると、なぜまたやりたくなるの?
惜しい外れは、実際にはお金を得ていないのに、お金を得たときと同じ脳の報酬の部分を働かせていました。そのため、続けたい気持ちが強まると考えられています。
ギャンブルをやめたいときは?
まずは使う金額の上限を決め、「惜しかった」と感じたらやめる合図にします。自分でコントロールできないときは、相談窓口に相談してください。
出典
- Haisley, E., Mostafa, R., & Loewenstein, G. (2008). Subjective relative income and lottery ticket purchases. Journal of Behavioral Decision Making, 21(3), 283-295. https://doi.org/10.1002/bdm.588
- Clark, L., Lawrence, A. J., Astley-Jones, F., & Gray, N. (2009). Gambling near-misses enhance motivation to gamble and recruit win-related brain circuitry. Neuron, 61(3), 481-490. https://doi.org/10.1016/j.neuron.2008.12.031
- Li, G., Li, Y., & Liu, L. (2025). The impact of improper promotion of sports lottery on the harm of purchasing sports lottery. Frontiers in Psychiatry, 16, 1670697. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2025.1670697
- 静岡市. 宝くじの収益金について. https://www.city.shizuoka.lg.jp/000_001813.html