お金と幸福度

自分へのご褒美、同じことの繰り返しでは満足度が上がらない理由

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色とりどりの焼き菓子が並んだショーケース
Photo: PattayaPatrol / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

頑張った自分へのご褒美を増やしているのに、思ったほど満足感が続かない。それは意志が弱いからではなく、同じご褒美を繰り返すと脳がすぐに慣れてしまう「快楽の順応」という自然な仕組みのせいかもしれません。研究では、ご褒美の「回数」を増やすことよりも「変化」をつけることのほうが、満足度との関係が強いことがわかっています。

3行でわかる

  1. ご褒美を繰り返すと快楽はすぐに薄れる「順応」が起きるため、回数や金額を増やすだけでは満足度は上がりにくい。
  2. 英国の銀行データを使った研究では、楽しみのための支出の「バリエーション」が、総支出額や収入とは別に生活満足度と関係していた。
  3. 所得による日々の感情的な満足感の伸びには一定の上限があることも研究で示されている。使う金額そのものより、使い方を見直すほうが効果が見込める。

01ご褒美が「効かなくなる」理由

同じご褒美を繰り返すと、脳はその刺激にすぐ慣れてしまう。これが「快楽の順応」で、同じ満足感を得るには回数や金額を増やす必要が出てくる。

新しいスイーツや買い物で得られる満足感は、最初は大きくても、繰り返すうちにだんだん小さくなっていきます。これは意志の弱さや感謝の気持ちが足りないからではなく、人間の感情がもともと「変化」に強く反応し、「同じこと」には慣れていく仕組みを持っているためです。

この仕組みのもとでは、ご褒美の回数を増やしたり、より高いものを選んだりしても、満足感は比例して増えるわけではありません。むしろ、同じパターンを繰り返すほど、次のご褒美に求める刺激が大きくなっていきやすいのです。

02科学的にわかっていること

支出の回数や総額そのものより、使い方の「バリエーション」のほうが満足度と結びつきやすい。使う金額を増やしても、感情的な満足感の伸びには上限があることも示されている。

Gladstone・Rubertonら(2024)[1]

楽しみのための支出(映画・外食・趣味など)の「バリエーション」が多い人ほど、生活満足度が高い傾向が、銀行の取引データを使った調査で確認された。この関係は、総支出額や収入・資産などの財政状況を考慮しても残っており、同じジャンルの支出を繰り返すだけでは見られなかった。4つの調査(合計2,920人)のうち、銀行データを使った調査(527人)では、支出のバリエーションと生活満足度の間に統計的に意味のある関連が見られた。

対象: 英国の銀行利用者527人の12か月分の取引データ(202,362件)、ほか自己報告データを使った3つの追加調査(米英、合計2,393人) / 限界: 相関関係を中心とした調査で、バリエーションが満足度を高めるのか、満足度の高い人がもともと変化のある使い方をするのかは、この研究だけでは完全に区別できていない。

Kahneman・Deaton(2010)[2]

米国で45万件以上の調査回答を分析した結果、収入は「生活への評価」とは強く結びついていた一方、日々の感情的な満足感は、年収がおよそ75,000ドルを超えるとそれ以上は伸びなくなっていた。使えるお金の量そのものを増やすことには、日々の気分を良くする効果に限界があることを示している。

対象: 米国の成人を対象にした大規模な日次調査(ギャラップ社、回答45万件超) / 限界: 米国のデータであり、2008〜2009年当時の調査のため、現在の物価や他の国にそのまま当てはまるとは限らない。

Whillans・Dunnら(2017)[3]

同じお金を使うにしても、家事代行や時短サービスなど「時間を買う」使い方をした人ほど、生活満足度が高かった。実験では、時間を買う使い方をした人のほうが、モノを買った人よりもその日の幸福感が高くなった。

対象: 米国・カナダ・デンマーク・オランダの成人6,271人の調査、および働く成人を対象にした実験 / 限界: 調査の多くは比較的豊かな国の対象者であり、時間を買う余裕がない層にはそのまま当てはまらない可能性がある。

03今日からできる小さな一歩

ご褒美を減らす必要はない。いつものパターンに気づき、次の1回だけ違う種類に変えてみることから始められる。

1

「いつものご褒美」を書き出す

最近1か月で繰り返しているご褒美(コンビニスイーツ、ネット通販など)を2〜3個メモします。

所要 5分

2

次の1回だけ、違うジャンルに変えてみる

同じ金額の範囲で、いつもと違う種類のご褒美(モノではなく体験、外食ではなく趣味の道具など)を試します。

所要 当日中

3

月に1回、「時間を買う」使い方を試す

家事代行、移動の時短、作業の外注など、モノではなく時間のゆとりを増やす使い方を1つ選んでみます。

所要 数十分

04続けるためのコツ

変化は大きくなくてよい。「ご褒美を減らす」でなく「配分を変える」と考えると、罪悪感を持たずに続けやすい。

05よくある質問

ご褒美の回数を減らすべきということ?

いいえ、回数を減らす必要はありません。研究が示しているのは、同じジャンルのご褒美を繰り返すより、種類を変えるほうが満足度との関係が強いということです。総額や回数そのものを問題にした研究ではありません。

高いご褒美の方が満足感は長続きしますか?

必ずしもそうではありません。研究では支出額そのものより支出の「バリエーション」が生活満足度と関係していました。同じ金額でも、使い方に変化をつけたほうが満足を感じやすいことを示す結果です。

出典

  1. Gladstone, J. J., Ruberton, P. M., Margolis, S., & Lyubomirsky, S. (2024). Does variety in hedonic spending improve happiness? Testing alternative causal mechanisms between hedonic variety and subjective well-being. BMC Psychology, 12, 98. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10897990/
  2. Kahneman, D., & Deaton, A. (2010). High income improves evaluation of life but not emotional well-being. Proceedings of the National Academy of Sciences, 107(38), 16489-16493. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2944762/
  3. Whillans, A. V., Dunn, E. W., Smeets, P., Bekkers, R., & Norton, M. I. (2017). Buying time promotes happiness. Proceedings of the National Academy of Sciences, 114(32), 8523-8527. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5559044/