貯金が続かない

節約を頑張るほど、あとで使いすぎてしまうのはなぜか。「節約疲れ」の研究

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Photo: www.kartenetui.info / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

頑張って節約していたのに、ある日突然タガが外れたように大きな買い物をしてしまう。そんな経験はないだろうか。これは意志が弱いからではない。自制心という資源には限りがあり、節約を続けるほどその資源が減っていくことが、複数の研究からわかっている。

3行でわかる

  1. 自制心を使い切った状態(自我消耗)では、衝動買いへの欲求が強まり、実際の購入額も増えることが実験で確認されている。
  2. 買い物の前に「予算の上限額」を意識すると、かえって高価格・高品質な商品を選びやすくなることが実験で確認されている。
  3. 12,316人を対象にした29件の研究では、意志力に頼るより、誘惑を遠ざけるなど仕組みを先に作る工夫の方が、節約を続けやすいとわかっている。

01節約疲れの正体を、やさしい言葉で

節約を「頑張る」こと自体が自制心という限られた資源を消耗し、使い切ると衝動買いへの欲求が強まることが実験でわかっている。

自制心は、ダイエット中の食欲を抑えるのも、衝動買いを我慢するのも、同じ一つの資源を使っていると考える理論がある。日中に細かい節約判断を重ねるほど、その資源は目減りしていく。資源が少なくなった状態は「自我消耗」と呼ばれ、判断や我慢をする力そのものが弱った状態を指す。節約を頑張った日の夜に、ネット通販で大きな買い物をしてしまいやすいのは、意志が弱いからではなく、使える自制心の残量が減っているからだと考えられている。

02研究でわかっていること

節約を頑張ること自体が後の衝動買いを招き、予算の上限を決める行為そのものが高額な商品を選ばせてしまうことが、複数の実験で確認されている。

Vohs & Faber(2007)[1]

大学生を対象にした3つの実験で、注意力を使う課題などによって自制心をあらかじめ使い切らせた参加者と、使い切らせなかった参加者を比較した。自制心を使い切った参加者は、買い物への欲求がより強くなり、思いがけない買い物の場面で、使ってよいと答えた金額も、実際に使った金額も多くなった。

対象: 大学生を対象にした実験室実験(3つの実験) / 限界: 短時間の課題による消耗を扱った実験室実験であり、「自我消耗」という考え方自体は、近年効果の再現性について議論が続いている。

Larson & Hamilton(2012)[2]

ボールペンなど様々な商品を使った複数の実験で、買い物の前に「予算の上限額」を意識させると、意識しなかった場合より高価格・高品質な商品を選ぶ割合が増えることを確認した。ボールペンの実験では、目安の金額を決めていなかった人のうち、1ドルより高いペンを選んだ人は38.6%だったのに対し、先に目安の金額を決めていた人では58.5%にのぼった。

対象: 消費者を対象にした複数の実験(ペン・テレビなどの購買場面) / 限界: あらかじめ1つの商品に絞って上限額を決める場面を想定した実験であり、日常のすべての買い物に当てはまるとは限らない。

Davydenko, Kolbuszewska & Peetz(2021)[3]

12,316人を対象にした29件の研究を統合したメタ分析で、節約・貯金のための自制心の工夫(戦略)の効果を比較した。誘惑になるものを事前に遠ざけるような工夫も、その場で気をそらすような工夫も同程度に効果があり、全体として中程度の効果で支出を減らし貯金を増やしていた。

対象: 12,316人(平均年齢26.6歳)を含む29件の研究のメタ分析 / 限界: 研究の多くが欧米圏で行われており、効果の大きさは研究間で差がある。

03今日からできる小さな一歩

意志力だけに頼らず、節約の判断そのものを減らす仕組みを先につくっておくと、自制心を使い切らずに済む。

1

貯金や固定費の支払いを自動振替にする

毎回「使うか我慢するか」を判断しなくていいように、先取りで自動的に振り分ける設定にしておく。

所要 5分

2

「今日は節約を頑張った」と思った日は買い物を控える

細かい節約判断を重ねた日の夜は、大きな買い物の決断を翌日以降に先延ばしにする。

所要 1分

3

予算の上限より先に「欲しい条件」を書き出す

金額の上限だけを決めるのではなく、必要な機能や条件を先にメモしておくと、価格だけで高い方を選びにくくなる。

所要 5分

04続けるためのコツ

「頑張れない日があるのは当然」と捉え、仕組みを整えることに力を注ぐ方が長く続けやすい。

05よくある質問

節約疲れって何ですか?

細かい節約判断を重ねることで自制心という資源が減り、その後に衝動買いへの欲求が強まったり、実際の購入額が増えたりする現象です。Vohs & Faber(2007)の実験で、自制心を使い切った参加者ほど、買い物への欲求と支払い額が増えることが確認されています。

予算を決めるとなぜ高いものを買ってしまうの?

Larson & Hamilton(2012)の実験では、買い物の前に価格の上限を意識すると、価格と品質を強く結びつけて考えるようになり、同じ上限の中でも高品質・高価格な商品を選びやすくなることが確認されています。ボールペンを使った実験では、目安の金額を決めていた人の58.5%が高いペンを選び、決めていなかった人では38.6%にとどまりました。

節約疲れを防ぐにはどうしたらいい?

Davydenkoら(2021)のメタ分析では、誘惑になるものを遠ざけるなど、判断そのものを減らす仕組みを事前に作る工夫が、意志力だけに頼るより効果的であることが示されています。

出典

  1. Vohs, K. D., & Faber, R. J. (2007). Spent Resources: Self-Regulatory Resource Availability Affects Impulse Buying. Journal of Consumer Research, 33(4), 537-547. https://doi.org/10.1086/510228
  2. Larson, J. S., & Hamilton, R. P. (2012). When Budgeting Backfires: How Self-Imposed Price Restraints Can Increase Spending. Journal of Marketing Research, 49(2), 231-246. https://scholarsarchive.byu.edu/facpub/8573
  3. Davydenko, M., Kolbuszewska, M., & Peetz, J. (2021). A meta-analysis of financial self-control strategies. PLOS ONE, 16(7), e0253938. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8266115/