貯金が続かないくせ、自分にある?「先延ばし」「お金の自信」「先の見通し」を研究の質問で振り返る10問

今月こそ貯めようと思ったのに、月末には残っていない。そんなとき「自分は意志が弱い」と片づけたくなります。でも研究では、貯金と結びつくのは意志の強さだけではなく、先延ばしのくせ、お金を扱う自信、先の見通しといった、いくつかの具体的なくせでした。研究で使われた質問を参考に、自分のくせに気づく10問を作りました。
3行でわかる
- 英国の約9万人の調査では、収入が止まっても暮らせる期間を把握するなど「先の見通し」を持つ力が、貯蓄と最も強く結びついていた(相関.77)。
- ノルウェーの調査では、先延ばしのくせがある人ほどお金の問題を抱えやすく、お金を扱う自信が高い人ほど貯金や予算の行動が多かった。
- 研究の質問を参考にした10問を5つのグループで振り返ると、どこから手をつけるかが見えてくる。診断ではなく、気づくための道具として使う。
01 悩みの正体貯金が続かないくせは、なぜ自分では気づきにくい?
貯金が続かないくせに気づきにくいのは、「意志が弱い」という1つの理由にまとめてしまい、先延ばし・自信・見通しといった中身を分けて見ないからだ。
将来のために貯めにくい心の仕組みは将来の自分のために貯金できないのはなぜ?で扱いました。この記事は、自分にどのくせがあるかを確かめる振り返りです。
02 科学的にわかっていること貯金できる人とできない人は、どんなくせが違う?
研究で貯蓄と結びついていたのは、先の見通しを持つ力、月末にお金が尽きないこと、お金を扱う自信、先延ばしの少なさだった。衝動買いの傾向は、ほかの要素を考えると単独の影響はほぼ残らなかった。
Fenton-O'Creevy・Furnham(2022)[2]
英国の90,184人の調査で、貯蓄・投資の額と結びつく要素を調べた。先の見通しを持つ力は.77、月末にお金が尽きずにやりくりできることは.62、「お金は安心のためのもの」という考え方は.41の相関だった。衝動買いの傾向は-.22と弱い負の相関で、ほかの要素を考えると、追加で説明できる部分は残らなかった。
対象: 英国の16歳以上のオンライン調査(BBCが募集)の回答者。ネット調査のため、収入がとても低い人や高齢者が少ない可能性がある / 限界: 一時点の調査で、因果の向きはわからない。お金があるから見通しを持てる、という逆の向きもありうる。
Gamst-Klaussen ら(2019)[1]
ノルウェーの675人では、先延ばしのくせとお金の問題の相関が0.34だった。年齢や収入などを考えても、先延ばしはお金の問題と結びついていたが、計画を立てる傾向は結びついていなかった。別の500人では、お金を扱う自信が高い人ほど貯金や予算の行動が多く(相関0.37)、先延ばしとの関係は、この自信を通して説明された。
対象: SNSで集めたノルウェーの16〜75歳(若く、女性が多い) / 限界: 一時点の調査で、自信が貯金を増やすという因果までは示していない。
Okamoto・Komamura(2021)[3]
日本の金融広報中央委員会の調査(2016年)から、学生を除く23,788人を分析した。「買う前に払えるか考える」「長期の目標を立てる」などのお金の行動の得点は、45歳前後で最も低いU字の形で、男性より女性の方が高かった。
対象: 日本の18〜79歳のインターネット調査 / 限界: ネット調査のため回答者に偏りがありうる。年齢や性別の平均の傾向で、個人には当てはまらないこともある。
03 今日からできる小さな一歩自分の貯金のくせは、どの質問で確かめられる?
下の10問に「はい・いいえ」で答え、5つのグループごとに「はい」を数える。「はい」が多いグループが、最初に手をつける場所の目安になる。
質問は、上の研究で使われた項目を参考に、日本の暮らしに合わせて言い換えたものです。点数で診断するものではありません。
| グループ | 質問(はい・いいえ) | 研究で分かっていること |
|---|---|---|
| A 先延ばし | 1. お金はあるのに支払いを後回しにして、催促が来たことがある 2. 口座の整理や引き落としの設定など、お金の手続きをつい後回しにする | 先延ばしのくせは、お金の問題と結びついていた(相関0.34) [1] |
| B お金の自信 | 3. 予定外の出費があると、使う計画を守れなくなる 4. お金の自分の管理に、自信がない | 自信が高い人ほど、貯金や予算の行動が多かった(相関0.37) [1] |
| C 先の見通し | 5. 収入が止まったら何か月暮らせるか、答えられない 6. この1年で、給料日前にお金が尽きたり、カードで乗り切ったりしたことがある | 見通しは.77、やりくりは.62と、貯蓄と最も強く結びついていた [2] |
| D 今を優先する気持ち | 7. 長い目で貯めるより、使う方が満足できる 8. 「今10万円」と「1年後に11万円」なら、今を選ぶ | 日本の調査でも、お金の考え方を測る質問として使われていた [3] |
| E 予定外の買い物 | 9. 店やネットで、買う予定のなかった物を買ってしまう 10. 1〜2年先のお金の目標を決めていない | 衝動買いの傾向は貯蓄と弱い負の相関(-.22)。目標を立てる行動は日本の調査で測られていた [2][3] |
10問に「はい・いいえ」で答える
迷ったら、この3か月を思い出して答えます。通帳やカードの明細を横に置くと、記憶だけより正確になります。
所要 5分
グループごとに「はい」を数える
A〜Eのそれぞれで、0〜2個のどれかになります。合計点より、どのグループに偏っているかを見ます。
所要 1分
「はい」が多いグループを1つ選ぶ
同じ数なら、C(先の見通し)を先にします。英国の調査で貯蓄と最も強く結びついていたためです [2]。
所要 1分
04 続けるためのコツ振り返った後は、どのくせから手をつければいい?
「はい」が多かったグループに合う工夫を1つだけ試す。先延ばしなら自動化、見通しなら手元の月数の計算、今を優先する気持ちなら目標を具体的にする工夫から始める。
- A 先延ばしが多い人:決めることを減らします。先取り貯金を自動にする研究のように、一度の設定で続く形にします。
- B お金の自信が低い人:小さく達成できる目標から始めます。貯金の目標設定の研究が参考になります。
- C 先の見通しが持てない人:まず貯金が生活費の何か月分かを数える計算表で、今の位置を数字にします。
- D 今を優先する気持ちが強い人:使うこと自体は悪くありません。お金を封筒に分ける工夫で、使う分と残す分を先に分けます。
- E 予定外の買い物が多い人:買う前のチェック表を使います。ただ研究では、見通しやお金の考え方の方が貯蓄との結びつきが強かったので、Cも一緒に見ます [2]。
- 3か月後にもう一度答える。「はい」の数が減ったグループがあれば、工夫が合っていたサインです。
05よくある質問
貯金が続かないのは、性格のせい?
性格だけでは決まりません。英国の約9万人の調査では、貯蓄の差のうち、先の見通しなどお金の扱い方で説明できる部分が、年齢や収入などで説明できる部分とほぼ同じ大きさでした。扱い方は練習で変えられる部分があります。
10問のうち、いくつ当てはまったら問題?
何個以上なら問題、という基準はありません。研究の質問を参考に作った振り返りで、診断ではないためです。当てはまった数より、どのグループに多いかを見て、最初に手をつける場所を決めるのに使ってください。
衝動買いが多いと、貯金はできない?
衝動買いの傾向は貯蓄と弱い負の関係がありました。ただ英国の調査では、先の見通しやお金への考え方を考慮すると、衝動買いの傾向だけで説明できる部分はほとんど残りませんでした。見通しを立てる方から始めるのも1つの方法です。
日本の人に特有の傾向はある?
日本の約2万4千人の調査では、お金の望ましい行動の得点が45歳前後で最も低いU字の形でした。男性より女性の方が得点が高い傾向もありました。どれも平均の傾向で、個人に当てはまるとは限りません。
出典
- Gamst-Klaussen, T., Steel, P., & Svartdal, F. (2019). Procrastination and Personal Finances: Exploring the Roles of Planning and Financial Self-Efficacy. Frontiers in Psychology, 10, 775. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00775
- Fenton-O'Creevy, M., & Furnham, A. (2022). Money attitudes, financial capabilities, and impulsiveness as predictors of wealth accumulation. PLOS ONE, 17(11), e0278047. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0278047
- Okamoto, S., & Komamura, K. (2021). Age, gender, and financial literacy in Japan. PLOS ONE, 16(11), e0259393. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0259393


