おこづかいの額と使い道、親子でどう決める?10項目のチェック表と「貯める・使う・分ける」の計算表

おこづかいを始めたいけれど、いくら渡せばいいのか、何に使わせればいいのか決められない。そう迷う親は少なくありません。額から決めるより、「何をおこづかいで買うか」「貯める分・分ける分」「足りないときどうするか」を先に親子で決め、額は最後に計算で出す方が決めやすくなります。この記事では、研究とつないだ10項目のチェック表と、貯める・使う・分けるの計算表をまとめました。
3行でわかる
- おこづかいは額から決めず、まかなう範囲・渡す日・貯める分・分ける分・足りないときのルールを先に決め、額は計算表で出す。
- スロベニアの大学1年生515人の研究では、目的を決めて貯めていたのは67.4%。貯めていない学生の34.6%が「目的がない」を理由に挙げた。
- ルールは一度で決めきらない。1か月使ってから計算表と実際を見比べ、1項目ずつ直す。
01 悩みの正体おこづかいのルールは、なぜ決めにくい?
おこづかいのルールが決めにくいのは、額だけを先に決めると、何をおこづかいで買うのか、足りないときどうするのかがあいまいなまま残るため。この記事で確認した研究の範囲では、ちょうどよい額を示したものは見つからなかった。
額は家庭の事情で変わります。研究からわかるのは額よりも、「どう渡し、どう話すか」の方です。だからこの記事は、額を最後に出す順番にしました。
わが子のお金のくせに気づく質問は子どものお金のくせに気づく記事、待つ力を育てる渡し方はおこづかいでお金の力を育てる記事にまとめています。この記事は、その前に決める「わが家のルール」の話です。
02 科学的にわかっていることおこづかいのルール、研究で何がわかっている?
おこづかいをもらった経験、親が使い道を知っていること、貯める目的があること、一部を分ける練習は、子どものお金の行動とよい方向に結びついていた。ただし多くは調査研究で、原因とまでは言えない。
Lep ら(2022)[1]
大学1年生と親1人に、目的を決めて貯めているかを聞いた。答えた学生488人の67.4%が貯めていた。貯めていない学生の理由は、収入が少ない・人に頼っている(38.4%)、目的がない(34.6%)などだった。親が貯めている学生は、自分も貯める見込みがオッズ比で2.88倍だった。貯めている学生は、大学に入る前に親からお金のことを教わり、使い方を見守られていたと答える傾向があった。
対象: スロベニアの大学1年生515人とその親 / 限界: 一時点の調査で、親の関わりは学生の思い出しによる。原因とまでは言えない。
LeBaron と Kelley(2021)[2]
2010〜2019年を中心に、家庭でのお金の学びの研究をまとめた。子どもは、親の行動を見る、親子で話す、自分でお金を扱う、の3つの道で学ぶと整理された。紹介された研究では、子どものころのおこづかいは若い大人になってからのお金の心配の少なさと、親が子どもの使い道を知っていることは健全なお金の行動と結びついていた。
対象: 主に家庭とお金の学術誌に載った研究 / 限界: 文献を整理したレビューで、効果の大きさを統合した分析ではない。
Lombardi ら(2021)[3]
小学生に、待つことや分け合うことを題材にした物語の話し合いを1時間×3回行った。受けた組は、10枚のカードのうち「4週間待つと2倍になる箱」に入れる枚数と、絵の中の友だちに分ける枚数が、受けなかった組より増えた。一方、慈善の箱への寄付の量には差が出なかった。
対象: イタリア北部の8〜10歳110人 / 限界: 2校での研究で、授業の1週間後までしか調べていない。
Aknin ら(2012)[4]
2歳前の子どもに、お菓子をもらう場面と、人形に分ける場面を体験してもらい、表情を記録した。子どもはもらうときより分けるときの方がうれしそうで、自分の器から分けたときは、別に用意されたお菓子を分けたときよりうれしそうだった。
対象: カナダの平均22か月の子ども20人 / 限界: 少人数の実験で、お金ではなくお菓子を使っている。
03 今日からできる小さな一歩おこづかいの額と使い道は、どう決める?
おこづかいの額と使い道は、①10項目のチェック表を親子で1つずつ決め、②1か月に自分で買うものを書き出し、③貯める分・分ける分を足して額を出す、の順に決める。額は最後に決める。
親子で決める10項目です。研究とのつながりは、この記事で整理しました。
| 決めること | 決め方の例 | 研究とのつながり |
|---|---|---|
| 1. おこづかいで買うもの | おやつ、文房具など、自分で払うものと親が払うものの線を書く | 自分でお金を扱う経験は、お金の学びの3つの道の1つ [2] |
| 2. 渡す日 | 週1回か月1回、決まった日に渡す | 子どものころのおこづかいは、大人になってからのお金の心配の少なさと結びついていた [2] |
| 3. 額 | 1〜6を決めてから、下の計算表で出す | 確認した研究の範囲では、ちょうどよい額を示したものはない |
| 4. 貯める分 | 全部ではなく、一部を先に分ける | 8〜10歳で増えたのは、一部を4週間先に回す枚数だった [3] |
| 5. 貯める目的 | 「何のために」を1つ紙に書く | 貯めていない学生の34.6%が「目的がない」を理由に挙げた [1]。4歳児では、貯めた後のうれしい場面を想像すると貯める子が増えた [6] |
| 6. 分ける分 | 家族や友だち、寄付など、人のために使う分を作るか | 2歳前でも、自分の分から分けるときうれしそうだった [4] |
| 7. 使い道の伝え方 | 週1回、「何に使った?」と話す時間を作る | 親が使い道を知っていることは、健全なお金の行動と結びついていた [1][2] |
| 8. 足りなくなったとき | 前借りするか、次の日まで待つかを先に決める | お金を使うつらさの感じ方は、5〜10歳でも子どもごとに違った [5] |
| 9. 買い物での話 | 値札やおつりを一緒に見る | 4歳児との買い物ごっこで、親のお金の話が多いほど、お金の計算の力が高かった [7] |
| 10. 親の貯める目的 | 親も「何のために貯めているか」を話す | 親が貯めている学生は、貯める見込みがオッズ比で2.88倍だった [1] |
次に、1か月の使い道から額を出します。数字は計算しやすくするための例で、目安の額や相場ではありません。右の列にわが家の数字を書きます。
| 項目 | 書き方 | 例 | わが家 |
|---|---|---|---|
| A 自分で買うもの | チェック表の1を1か月分たす | 600円 | |
| B 自由に使う分 | 決めずに使ってよいお金 | 100円 | |
| C 使う分の合計 | A+B | 700円 | |
| D 貯める分 | チェック表の4・5 | 200円 | |
| E 分ける分 | チェック表の6。作らない家は0円 | 100円 | |
| F 1か月の額 | C+D+E | 1,000円 | |
| G 目標までの月数 | 目標の額 ÷ D(例: 1,200円 ÷ 200円) | 6か月 |
Gが長すぎるときは、Dを増やすか、目標を小さくします。Fが家計に合わないときは、Aの範囲から見直します。
チェック表の10項目を、親子で話して決める
親が決めて伝えるのではなく、子どもの考えも聞きます。決まらない項目は「仮」でかまいません。
所要 20分
計算表を埋めて、額を出す
Aから順に書きます。Gを見て、目標までの長さが子どもに待てる長さか一緒に確かめます。
所要 15分
04 続けるためのコツ決めたおこづかいのルールは、どう見直す?
決めたおこづかいのルールは、1か月使ってから計算表の数字と実際を親子で見比べ、1か月に1項目だけ直す。足りなくなった月も叱らず、子どもではなくルールの方を直す。
- 1か月後に見比べる。計算表のA〜Eと、実際に使った額を並べます。ずれた項目に印をつけます。
- 直すのは1回に1項目。いくつも変えると、どの変更が合っていたかわからなくなります。
- 足りなくなった月を失敗にしない。使うつらさの感じ方は子どもごとに違います [5]。使い切りやすい子なら、8の「足りないとき」のルールを先に見直します。
- 目的が変わったら書き直す。目的がないと貯めにくい傾向がありました [1]。欲しいものが変わったら、5とGを書き直します。
- 親の話も少しだけ。親が貯めている姿や目的を話すことも、お金の学びの道の1つです [2]。親の習慣の伝わり方は親のお金の習慣と子どもの記事へ。
- 学年が変わったら全体を見直す。買うものの範囲が広がる時期は、1から決め直す目安になります。
05よくある質問
おこづかいの額は、どうやって決めればいい?
額から決めず、おこづかいで買うものを1か月分書き出し、貯める分と分ける分を足して出す方法があります。この記事で確認した研究の範囲では、ちょうどよい額を示したものは見つかりませんでした。家計に合わないときは、買うものの範囲から見直します。
おこづかいの一部は、貯金させた方がいい?
全部ではなく、一部を先に分ける形が始めやすい方法です。イタリアの8〜10歳110人の研究では、話し合いの授業の後、10枚のカードのうち4週間先に回す枚数が増えました。「何のために貯めるか」を1つ書いておくと、続ける理由になります。
おこづかいが足りなくなったら、追加で渡していい?
研究で決まった答えはありません。大切なのは、前借りするか、次の日まで待つかを、足りなくなる前に親子で決めておくことです。5〜10歳225人の研究では、お金を使うつらさの感じ方が子どもごとに違っていたため、使い切りやすい子もいる前提で決めます。
おこづかいに「人のために使う分」も作った方がいい?
作るかどうかは家庭の考えで決めてかまいません。カナダの平均22か月の子ども20人の実験では、お菓子をもらうときより人形に分けるときの方がうれしそうで、自分の器から分けたときは特にうれしそうでした。
出典
- Lep, Ž., Zupančič, M., & Poredoš, M. (2022). Saving of Freshmen and Their Parents in Slovenia: Saving Motives and Links to Parental Financial Socialization. Journal of Family and Economic Issues, 43(4), 756-773. https://doi.org/10.1007/s10834-021-09789-x
- LeBaron, A. B., & Kelley, H. H. (2021). Financial Socialization: A Decade in Review. Journal of Family and Economic Issues, 42(Suppl 1), 195-206. https://doi.org/10.1007/s10834-020-09736-2
- Lombardi, E., Valle, A., Rinaldi, T., Massaro, D., & Marchetti, A. (2021). Learning to Wait and Be Altruistic: Testing A Conversational Training in Economic Education for Primary School Children. Europe's Journal of Psychology, 17(4), 306-318. https://doi.org/10.5964/ejop.2453
- Aknin, L. B., Hamlin, J. K., & Dunn, E. W. (2012). Giving Leads to Happiness in Young Children. PLoS ONE, 7(6), e39211. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0039211
- Smith, C. E., Echelbarger, M., Gelman, S. A., & Rick, S. I. (2018). Spendthrifts and Tightwads in Childhood: Feelings about Spending Predict Children's Financial Decision-Making. Journal of Behavioral Decision Making, 31(3), 446-460. https://doi.org/10.1002/bdm.2071
- Zhang, J., Vohs, K. D., & Carlson, S. M. (2024). Imagining the future improves saving in preschoolers. Journal of Experimental Child Psychology, 246, 105966. https://doi.org/10.1016/j.jecp.2024.105966
- Duong, S., Elliott, L., Sidoti, O., Bachman, H. J., Libertus, M. E., & Votruba-Drzal, E. (2024). Money talks! The role of parents' discussion of money for preschoolers' math knowledge. Journal of Numerical Cognition, 10, e11351. https://doi.org/10.5964/jnc.11351


