サブスク・固定費

固定費の見直しがなぜ後回しになるのか。現状維持バイアスの研究

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Photo: Negative Space / CC0 / Stocksnap
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

「そのうち見直そう」と思ったサブスクが、気づけば1年以上そのままになっている。これは怠けているからではない。「今のままにしておく」という選択肢が、他の選択肢より心理的に選ばれやすいという、人間の判断の仕組みが関わっている。

3行でわかる

  1. 選択肢が「今のまま」として提示されると、それだけで選ばれやすくなることが実験で確認されている。
  2. サブスクの利用者が能動的に見直しを迫られる月(クレジットカード更新月など)は、解約率が跳ね上がることが実データで示されている。
  3. 利用者の「見直さない」という不注意は、事業者の収益を平均89%も押し上げているという試算もある。

01「今のまま」がなぜ選ばれやすいのか

選択肢を「現状維持」として提示するだけで、他の選択肢より選ばれやすくなることが実験で示されている。

1988年に発表された古典的な実験では、まったく同じ選択肢の組み合わせでも、そのうちの一つを「これまで通り」として提示すると、中立的に提示した場合より選ばれる割合が高くなることが確認された。健康保険や退職金制度の選択といった、実生活での重要な意思決定でもこの傾向は強く現れている。サブスクの「特に何もしなければ自動継続」という設計は、まさにこの現状維持バイアスが働きやすい状況を作り出している。

02研究では何がわかっているのか?

見直しが後回しになるのは意志の弱さの問題ではなく、選択の設計そのものが「何もしない」を後押ししている。

Samuelson & Zeckhauser(1988)[1]

同じ選択肢の組み合わせを「現状維持あり」として提示した場合と、中立的に提示した場合を比較する一連の実験を実施。現状維持として提示された選択肢は、そうでない場合より高い割合で選ばれた。大学教員の保険・退職金制度の選択に関する実データでも、同様の強い現状維持傾向が確認された。

対象: 実験参加者、および大学教員の福利厚生選択に関する実データ / 限界: 1980年代の研究であり、現在のサブスク的な自動継続の仕組みそのものを対象にしたものではない。

Einav, Klopack & Mahoney[2]

複数のサブスクリプションサービスの解約パターンを分析したところ、クレジットカードの更新などで支払い情報の再入力が必要になり、利用者が能動的な判断を迫られる月に解約率が跳ね上がることを確認した。利用者の不注意(見直さないこと)が、対象10サービスの収益を平均89%押し上げていると試算している。

対象: 複数のサブスクリプションサービスの実際の契約・解約データ / 限界: 分析対象となったサービスの業種・価格帯に偏りがある可能性がある。

ゼニエモン(バリューファースト)調査[3]

10代以上の男女400人を対象にしたアンケート。サブスクの契約状況を1年以上見直していない人が約3割にのぼった。約8割がサブスクを利用中だが「不要なサービスはない」という回答が大多数を占めており、見直し自体をしていない人が多いことがうかがえる。

対象: 日本国内の10代以上男女400人 / 限界: 学術的な査読を経た研究ではなく、企業が実施した消費者アンケート。

03今日からできる小さな一歩

「見直すタイミング」を自分の意志に頼らず、あらかじめ仕組みとして用意しておく。

1

今契約しているサブスクを一覧に書き出す

クレジットカードの明細を見ながら、金額・サービス名だけをメモ帳に書き出す。

所要 5分

2

「今月1回も使っていないもの」に印をつける

一覧を眺めて、直近1か月で一度も使っていないサービスに印をつけるだけでよい。

所要 3分

3

印がついたものだけ、その場で解約手続きを始める

「あとで検討する」を挟まず、印がついた分だけその場で解約ページを開く。

所要 5分

04続けるためのコツ

見直しを「特別な作業」にせず、カード更新月など決まったタイミングに固定してしまうと続けやすい。

05よくある質問

現状維持バイアスとは何ですか?

Samuelson & Zeckhauser(1988)が実験で示した、選択肢が「今のまま」として提示されると、それ以外の選択肢より選ばれやすくなる心理的な傾向です。健康保険や退職金制度の選択など、実際の重要な意思決定でも強く働くことが確認されています。

サブスクの解約率はどんなときに上がりますか?

NBERの研究では、クレジットカードの更新などで支払い情報の再入力が必要になり、利用者が能動的な判断を迫られる月に解約率が跳ね上がることが確認されています。普段は「特に何もしない」が自動的に継続を意味してしまうためです。

出典

  1. Samuelson, W., & Zeckhauser, R. (1988). Status Quo Bias in Decision Making. Journal of Risk and Uncertainty, 1(1). https://scholar.harvard.edu/files/rzeckhauser/files/status_quo_bias_in_decision_making.pdf
  2. Einav, L., Klopack, B., & Mahoney, N. NBER Working Paper. Consumer Inattention in Subscription Markets. https://www.nber.org/system/files/working_papers/w31547/w31547.pdf
  3. ゼニエモン(バリューファースト). サブスクリプションサービスに関するアンケート調査. https://ecnomikata.com/ecnews/28080