浪費・衝動買い

ギャンブルで負けを取り返そうとしてしまったら?「チェイシング」の後の立て直し手順と相談先

約11分で読めます 出典照合済み(2026-10-11)

カジノのチップ
Photo: Jacek Halicki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

負けた分を取り返そうとして、もう一度だけ賭けた。気づけば、最初の負けよりずっと大きな額になっていた。そんな夜の後は、自分を責める気持ちと「次こそ取り返せば」という気持ちが入り混じります。負けを追いかけることは、研究では「チェイシング」と呼ばれ、ギャンブルの問題の中心にある行動とされています。この記事では、やってしまった後に何をするかを、今夜・今週・今月の順にまとめました。

3行でわかる

  1. 負けを取り返そうとする「チェイシング」は、研究ではギャンブルの問題の中心となる行動とされている。まず今夜、追加の入金と借入を止める。
  2. 29の比較試験・3,083人をまとめた研究では、心理療法でギャンブルの問題の重さが中程度に下がった。中でも認知行動療法の効果が大きかった。
  3. 一人で止められないと感じたら、精神保健福祉センター(全国69か所)に相談できる。借金が絡むときは188や法テラスなどの無料の窓口も使える。

01 悩みの正体負けを取り返そうとするのは、なぜ危ない?

負けを取り返そうとして賭け続ける「チェイシング」は、研究ではギャンブルの問題の中心にある行動とされる。その日のうちに賭け金を増やす形と、別の日に取り返しに行く形の2つがある。

チェイシングには、大きく2つの形があります。その場で賭け金を上げる、賭けるペースを速めるといった「その日のうちの追いかけ」と、取り返すために別の日にまた出かける「日をまたいだ追いかけ」です [1]。

なぜ「惜しい」と感じて続けてしまうのかは宝くじやギャンブルをつい続けてしまう理由の記事で扱いました。この記事は、もう追いかけてしまった後の話です。

02 科学的にわかっていること負けを追いかけた後、何が立て直しに役立つ?

立て直しの支えとして研究されているのは、心理療法、使う額の上限の設定、利用を自分で止める「自己排除」の3つ。効果が最もはっきりしているのは心理療法で、残る2つは役立ったという報告がある段階。

29の試験・3,083人ギャンブルの問題への心理療法をくじ引きで比べた試験をまとめた研究。問題の重さが中程度に下がっていた [2]

Banerjee ら(2023)[1]

負けを取り返そうとしてギャンブルを続けたり、強めたりする傾向は、ギャンブル障害の重要な症状で、問題を抱えやすい人がよく当てはまる特徴だとまとめた。研究によって、日をまたいだ追いかけ(39研究)と、その日のうちの追いかけ(38研究)の2つの見方があった。

対象: チェイシングを扱った研究の整理(スコーピングレビュー) / 限界: 定義の整理が目的で、立て直しの方法の効果は調べていない。

Eriksen ら(2023)[2]

ギャンブル障害への心理療法をくじ引きで比べた29の試験(3,083人を分析)をまとめた。心理療法を受けた組では、ギャンブルの問題の重さが中程度に下がり(効果量 g = −0.71)、回復に至る人も増えた。種類別では認知行動療法の効果が最も大きく(g = −0.85)、動機づけ面接だけの方法では効果がはっきりしなかった。

対象: 平均年齢20〜52歳の各国の試験 / 限界: 多くの試験で偏りの危険が高く、長い期間の効果はまだよくわかっていない(著者は「少なくとも短期的には」効くとしている)。

Gainsbury(2014)[3]

カジノなどの利用を本人の申し出で止める「自己排除」の研究をまとめた。カナダ・ケベック州の161人の調査では、6か月後に22〜40%が約束を破って利用していた。一方で、各地の研究をまとめると、参加した人の多くは、ギャンブルが減った、気持ちが楽になったと答えていた。

対象: 北米・欧州・オーストラリアの自己排除の研究 / 限界: 本人の回答に頼る小規模な研究が多く、治療の効果と分けて評価できていない。

Heirene・Gainsbury(2021)[4]

オーストラリアの4つのネット賭博サイトの利用者26,560人を、上限設定を勧めるメッセージを送る組と送らない組にくじで分けた。送った組で入金の上限を設定した人は0.71%、送らない組は0.08%だった。上限を設定した人は、1日あたりの賭け金や負け額が減っていた。

対象: 平均41.4歳、79%が男性 / 限界: 賭け金が減った結果は、自分で上限を選んだ人と選ばなかった人の比較で、上限が原因とまでは言えない。

03 今日からできる小さな一歩負けを追いかけてしまった夜、まず何をする?

負けを追いかけてしまった夜は、①追加の入金と借入を止める、②負けた額と使ったお金の出どころを書き出す、③利用を止める仕組みや上限を設定する、の順に進める。取り返す計画は立てない。

急いで全部を片づける必要はありません。今夜・今週・今月で、やることを分けます。

いつやること避けたいこと
今夜アプリを閉じる。カードやスマホ決済を手元から離し、追加の入金をしない「あと1回で取り返す」と賭ける。借りて賭ける
今週負けた額、お金の出どころ(貯金・カード・借入)、支払い期日を紙に書く負けた額を頭の中だけで数える。家族に隠したまま返済を回す
今週使っているサイトや施設に、入金の上限や利用を止める仕組みがないか確かめて設定する「次から気をつける」だけで終わらせる
今月支払いが回らない、止められないと感じたら、相談先に連絡する相談を「もう少し様子を見てから」と先延ばしにする
1

今夜は、追加の入金と借入を止める

取り返そうとして賭け金を上げることは、研究でチェイシングの形とされている行動そのものです [1]。今夜は「取り返す」ではなく「これ以上増やさない」を目標にします。

所要 5分

2

負けた額とお金の出どころを書き出す

いくら負けたか、そのお金は貯金・カード・借入のどこから出たか、次の支払いはいつかを書きます。頭の中で数えるより、全体を落ち着いて見られます。

所要 15分

3

上限や利用停止の仕組みを設定する

ネット賭博の研究では、上限を設定した人は、1日の賭け金や負け額が減っていました [4]。上限の目安はギャンブルに使う額の計算表で確かめられます。

所要 10分

4

止められないと感じたら、相談の予定を入れる

下の表から1つ選び、電話する日を予定表に書きます。家族の立場で相談できる窓口もあります。

所要 5分

04 続けるためのコツ取り返したい気持ちが戻ってきたら、どうする?

取り返したい気持ちが戻ったら、書き出した負けの額を見返し、上限の設定を確かめる。1人で止められないときは、精神保健福祉センターや治療につなぐ。心理療法は短期的に効果が示されている。

困っていること相談先連絡先・内容
ギャンブルがやめられない、家族のギャンブルが心配精神保健福祉センターすべての都道府県と政令指定都市に置かれ(全国69か所)、依存の問題の個別の相談、グループのプログラム、家族向けの支援を行う [5]
契約や支払いのトラブル、どこに相談すればいいか分からない消費者ホットライン188。近くの消費生活センターなどを案内 [6]
借金の問題で使える法制度や窓口を知りたい法テラス・サポートダイヤル0570-078374。平日9〜21時、土曜9〜17時(祝日・年末年始を除く)[7]
カードローンやキャッシングなど、貸金業者からの借入の相談日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター0570-051-051。平日9〜17時 [8]

相談料はかかりませんが、通話料はかかります。借金で追い詰められたときの順番はお金の不安で追い詰められたときの記事にもまとめています。

05よくある質問

ギャンブルの負けを取り返したい。どうすればいい?

取り返そうとして賭け続けることは、研究で「チェイシング」と呼ばれ、ギャンブルの問題の中心にある行動とされています。まず今夜は追加の入金と借入を止め、今週中に負けた額とお金の出どころを書き出してください。取り返す計画ではなく、返す・埋める計画を立てる方が立て直しにつながります。

ギャンブル依存は治療で良くなるの?

研究では効果が示されています。29の比較試験・3,083人をまとめた研究では、心理療法でギャンブルの問題の重さが中程度に下がり、認知行動療法の効果が最も大きくありました。ただし長い期間の効果はまだよくわかっていません。

自分で利用を止める仕組み(自己排除)は効果がある?

完全ではありませんが、支えになります。カナダ・ケベック州の161人の調査では、6か月後に22〜40%が約束を破って利用していました。一方で、各地の研究をまとめると、参加した人の多くはギャンブルが減った、気持ちが楽になったと答えていました。

家族がギャンブルで負けを追いかけている。どこに相談できる?

都道府県と政令指定都市にある精神保健福祉センターでは、依存の問題について本人の相談のほか、家族向けの支援も行っています。借金が絡むときは、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)で使える法制度や窓口を案内しています。

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なぜ → 気づく → 工夫する → やってしまったら(この記事) → 使う
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出典

  1. Banerjee, N., Chen, Z., Clark, L., & Noël, X. (2023). Behavioural expressions of loss-chasing in gambling: A systematic scoping review. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 153, 105377. https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2023.105377
  2. Eriksen, J. W., Fiskaali, A., Zachariae, R., Wellnitz, K. B., Oernboel, E., Stenbro, A. W., Marcussen, T., & Petersen, M. W. (2023). Psychological intervention for gambling disorder: A systematic review and meta-analysis. Journal of Behavioral Addictions, 12(3), 613-630. https://doi.org/10.1556/2006.2023.00034
  3. Gainsbury, S. M. (2014). Review of self-exclusion from gambling venues as an intervention for problem gambling. Journal of Gambling Studies, 30(2), 229-251. https://doi.org/10.1007/s10899-013-9362-0
  4. Heirene, R. M., & Gainsbury, S. M. (2021). Encouraging and evaluating limit-setting among on-line gamblers: a naturalistic randomized controlled trial. Addiction, 116(10), 2801-2813. https://doi.org/10.1111/add.15471
  5. Katayama, M., Fujishiro, S., Sugiura, K., Konishi, J., Inada, K., Shirakawa, N., & Matsumoto, T. (2024). Greater impact of COVID-19 on peer-supported addiction services than government-owned services for addiction in Japan: A nationwide 3-year longitudinal cohort study. PCN Reports, 3(4), e70012. https://doi.org/10.1002/pcn5.70012
  6. 消費者庁「消費者ホットライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  7. 法テラス「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudanmadoguchi-houseido/support-dial.html
  8. 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター」 https://www.j-fsa.or.jp/personal/