浪費・衝動買い

衝動買いはなぜ起きる?意志の弱さではない行動経済学の理由

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Empty shopping carts and checkout registers wait for commissary patrons hours before the grand opening of new store at Naval Submarine Base
Photo: Kevin Robinson / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開されている研究論文や公的機関の資料をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。SEADICEが独自に実験したものではありません(家計・投資の助言ではありません)。出典は末尾にあります。

気づいたらレジに向かっていた、カートに入れてしまっていた。衝動買いのあとに「なんで買ったんだろう」と感じるのは、意志が弱いからではありません。自制心という限りある資源が使い減りすることと、「今しかない」という焦りが働くことが、行動経済学の研究でわかっています。

3行でわかる

  1. 自制心は貯金のように使うと減る「限りある資源」で、使ったあとほど衝動買いへの欲求が強まります。
  2. 「残りわずか」「今だけ」という表示は、見逃す不安(FOMO)を刺激して衝動買いを後押しします。
  3. 衝動買いは特別な人だけに起きる現象ではなく、誰にでも起こりうる自然な購買行動として研究者に位置づけられています。

01衝動買いはなぜ起きるのか?

衝動買いは「その場の刺激に反応してしまう瞬間的な購買行動」で、自制心が弱っているときほど起きやすくなります。

消費者研究の分野を切り開いたRook(1987)は、衝動買いを「突然わき起こる、抑えがたい購買の衝動」と特徴づけ、特別な性格の人だけに起きる例外的な行動ではなく、誰にでも起こりうる購買行動のひとつとして位置づけました。買い物中に「欲しい」という感情が理屈より先に立ち上がり、後から理由を探すような形で財布を開いてしまう。この順番の逆転が、衝動買いの核にあります。

02研究では何がわかっているのか?

自制心という資源の消耗と、「見逃すかもしれない」という不安の2つが、衝動買いを強める仕組みとして確認されています。

Vohs & Faber(2007)[1]

参加者の自制心をあらかじめ別の課題(感情を抑える・難しい判断を続けるなど)で消耗させてから買い物の場面を用意したところ、自制心を消耗させられた参加者ほど「買いたい」という衝動を強く感じ、実際に使ってもよいと答える金額も、実際に使った金額も多くなりました。

対象: 大学生を中心とした参加者による3つの実験 / 限界: 実験室内で人工的に作り出した状況であり、日常の買い物すべてに当てはまるとは限らない。

Zhang, Jiang, Turner & Pahlevan-Sharif(2022)[2]

「残りわずか」といった品薄の表示は、購買意欲を統計的に有意に高めました(β=0.233)。その効果の一部は「見逃すかもしれない」という不安(FOMO、β=0.488)を強めることで生じており、周囲の人も買っている様子が見える場合はさらに効果が強まりました。

対象: 中国の消費者488人へのオンライン調査(2020年1〜3月実施) / 限界: 感染症の流行初期という特殊な時期・地域の調査であり、平常時への一般化には注意が必要。

03今日からできる小さな一歩

衝動を我慢する力に頼るのではなく、衝動が起きにくい・行動に移しにくい仕組みを先に作っておくことが効果的です。

1

「残りわずか」表示を見たら、まず深呼吸をひとつ

品薄・今だけの表示を見た瞬間は判断が急かされているサインだと気づくだけで、一拍置きやすくなる。

所要 10秒

2

買い物前は空腹・疲労・イライラを避ける

自制心が消耗している状態(お腹が空いている、疲れている、イライラしている)での買い物はなるべく避け、別のタイミングに回す。

所要 0分(予定をずらすだけ)

3

カートに入れたら一晩置いてから決済する

オンラインショッピングでは「今すぐ購入」せず、カートに入れたまま一度離れ、翌日改めて必要かを考える。

所要 1分(設定するだけ)

04続けるためのコツ

衝動買いをゼロにしようとせず、「起きやすい場面」を先に知っておくだけで対処しやすくなります。

05よくある質問

衝動買いは意志が弱いから起きるのですか?

そうとは限りません。Vohs & Faber(2007)の実験では、自制心という限りある資源を別の作業で使い切った参加者ほど、後の買い物で強い衝動を感じ、実際に多くお金を使いました。意志の強さよりも、そのときの資源の残量が影響しています。

「今だけ・残りわずか」という表示にはどんな効果がありますか?

Zhang et al.(2022)の調査では、品薄表示が「見逃すかもしれない不安(FOMO)」を強め、それが衝動買いを後押しすることが確認されています。周りの人も買っている様子が見えると、さらに効果が強まりました。

衝動買いは悪いことなのですか?

Rook(1987)は衝動買いを人間の自然な購買行動のひとつとして位置づけています。すべての衝動買いを否定する必要はなく、家計に響く頻度や金額になっているかどうかが重要です。

疲れているときに買い物をすると衝動買いしやすいですか?

その可能性が研究で示されています。自制心は仕事や我慢など別の場面でも消費される共通の資源だと考えられており、疲れた状態での買い物は衝動を抑えにくくなります。

出典

  1. Rook, D. W. (1987). The Buying Impulse. Journal of Consumer Research, 14(2), 189-199. https://academic.oup.com/jcr/article-abstract/14/2/189/1830380
  2. Vohs, K. D., & Faber, R. J. (2007). Spent Resources: Self-Regulatory Resource Availability Affects Impulse Buying. Journal of Consumer Research, 33(4), 537-547. https://academic.oup.com/jcr/article-abstract/33/4/537/1790385
  3. Zhang, K. Z. K., Jiang, C., Turner, L., & Pahlevan-Sharif, S. (2022). The Impact of Scarcity on Consumers' Impulse Buying Based on the S-O-R Theory. Frontiers in Psychology, 13. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9231522/