衝動買いのくせがある?研究の質問票で振り返る、ふつうの衝動買いと「やめられない買い物」の違い

気づいたらカートに入れて、届いた箱を見て「なぜ買ったんだろう」と思う。衝動買いは多くの人にあることで、性格がだらしないからではありません。研究者は衝動買いのしやすさを質問票で測り、日常の衝動買いと「買い物がやめられない状態」を分けて考えてきました。この記事では、その質問項目を参考に、自分のくせに気づくための表を2つ用意しました。
3行でわかる
- 衝動買いのしやすさは9項目の質問票などで測られ、「見たら買う」「買ってから考える」がその例。点数の区切りはなく、誰にでもある傾向の強弱として扱われる。
- 買い物がやめられない状態(買い物依存)は別の7項目で確かめられ、4項目以上に「そう思う」なら仮の目安とされる。代表性のある成人の調査をまとめると、およそ4.9%に見られた。
- 気をつけたいサインは「気分を変えるために買う」「減らそうとしても減らせない」「生活に支障が出ている」など。ここに当てはまるなら、ひとりで抱えず専門家に相談するのも一つの道。
01 悩みの正体衝動買いは、どこからが問題?
衝動買いは誰にでもある傾向で、強さに個人差があるだけです。問題になるのは、買う量を自分で調整できず、生活や気持ちに支障が出ている場合です。
衝動買いが起きる仕組みは衝動買いの研究で、減らす工夫はネットの衝動買いを減らす5つの工夫で扱いました。
この記事は、その手前の「自分はどのくらい当てはまるか」に気づくためのものです。
02 科学的にわかっていること衝動買いのしやすさは、どう測る?
衝動買いのしやすさは「衝動買い傾向」の質問票で、買い物依存の目安は「買い物依存尺度」で測られる。前者は傾向の強弱、後者は困りごとのサインを見るためのもの。
Rook と Fisher(1995)の質問票。Serfas ら(2014)、Aquino と Lins(2023)での紹介 [1][2]
衝動買い傾向の質問票は9項目。例は「よく、思いつきで物を買う」「『見たら買う』は自分に当てはまる」「『とりあえず買って、考えるのは後』は自分に当てはまる」。この質問票には区切りの点数がなく、点数はそのまま傾向の強さとして使われる。
対象: オーストリアの49人の実験(Serfas ら)、ポルトガルでの短縮版(4項目)の紹介 / 限界: 元の論文は開いて確認できておらず、項目は後の研究での引用から訳した。
Andreassen ら(2015)[3]
ノルウェーの23,537人のデータから、買い物依存を確かめる7項目の質問票(ベルゲン買い物依存尺度)を作った。過去12か月について5段階で答え、7項目のうち4項目以上に「そう思う」「とてもそう思う」なら目安になるとした。得点が高い人ほど、不安が強い傾向があった。
対象: 新聞のウェブ記事から自分で回答した人で、女性が多い / 限界: 目安の点数は仮のもので、著者も「さらに確かめる必要がある」としている。
Maraz ら(2016)[4]
16か国の40研究(約3万2千人)をまとめると、買い物がやめられない状態は、代表性のある成人の調査で4.9%、大学生で8.3%、買い物客を対象にした調査で16.2%だった。若い人と女性で多い傾向があった。
対象: 49の推計値のメタ分析 / 限界: 研究ごとに測り方や期間が違い、ばらつきが大きい。
Müller ら(2021)[5]
35か国の専門家138人(2回目は102人)が2回の意見集約を行い、買い物依存の特徴を整理した。合意されたのは、抑えにくい買いたい気持ち、コントロールの低下、使わない物を買いすぎる、気分を整えるために買う、生活への悪影響、やめたときのつらさ、悪影響があっても続く、の7つ。
対象: 専門家の合意 / 限界: 診断基準の提案で、回数や期間の基準には合意がなかった。
03 今日からできる小さな一歩自分の衝動買いのくせに、どう気づく?
表Aで衝動買いのくせの強さを、表Bで困りごとのサインを確かめる。表Aはくせを知るため、表Bは相談を考える目安にするためのもの。どちらも診断ではない。
表A: 衝動買いのくせ(研究の質問票を参考に作った振り返り。区切りの点数はありません)
| 質問 | 当てはまったら |
|---|---|
| 1. 欲しい物リストに無かった物を、思いつきで買うことがよくある | 計画より、その場の気持ちで決めやすい |
| 2. 「見たら買う」が自分に当てはまる | 目に入ることが、買うきっかけになっている |
| 3. 「とりあえず買って、考えるのは後」が多い | 考える前に決済まで進みやすい |
| 4. 考えずに物を買うことがよくある | その場の勢いで決めやすい |
表B: 困りごとのサイン(ベルゲン買い物依存尺度の7項目を参考にした訳。過去12か月で考えます)
| 質問 | 特徴 |
|---|---|
| 1. いつも買い物のことを考えている | 頭の中を占める |
| 2. 気分を変えるために買い物をする | 気分を整える手段 |
| 3. 買い物のしすぎで、仕事や学業などの毎日の務めに支障が出ている | 生活とのぶつかり |
| 4. 前と同じ満足を得るのに、もっと買う必要がある | 量が増える |
| 5. 買い物を減らそうと決めたのに、減らせなかった | やめようとしてもやめられない |
| 6. 何かの理由で買い物ができないと、気分が悪くなる | やめたときのつらさ |
| 7. 買い物のしすぎで、心や暮らしの健やかさが損なわれた | 暮らしへの悪影響 |
表Aに答え、当てはまった番号を覚えておく
4つのうち当てはまった質問が、あなたの衝動買いの入り口です。たとえば2なら「見ない工夫」、3なら「考える間を作る工夫」が合います。
所要 2分
表Bに「そう思う」「とてもそう思う」で答える
「そう思う」以上が4つ以上なら、研究で仮の目安とされた水準です。数に関係なく、3・5・7のどれかが強く当てはまるなら、心配を一人で抱えなくて大丈夫です。
所要 3分
直近1か月の購入履歴で「使っていない物」を数える
使わない物を買いすぎることは、専門家が合意した特徴の一つです。数を書き出すと、気分ではなく事実で振り返れます。
所要 10分
04 続けるためのコツ気づいた後、どう付き合う?
気づいた後は、自分を責めずに「入り口」に合う工夫を1つ選ぶ。表Bが多く当てはまる、または生活に支障があるなら、医療機関などの専門家に相談するのも一つの方法。
- 責めるより、記録する。衝動買いのくせは傾向の強弱で、よい悪いではありません。いつ・何を見て買ったかを残すほうが役に立ちます。
- 表Aは月1回で十分。カードの明細が届く日に、振り返る日を決めておきます。
- 気分と買い物を切り離す。表Bの2に当てはまる人は、落ち込んだときの買い物の研究も参考になります。リテールセラピーの研究へ。
- 支払いが苦しくなっているなら早めに。買い物の量より先に、返済や生活費に困っている場合は、消費者ホットライン188(近くの消費生活センターなどを案内)や医療機関に早めに相談してください。
05よくある質問
衝動買いが多いのは、病気?
多くの場合、病気ではありません。衝動買いのしやすさは誰にでもある傾向の強弱として研究されています。ただし、減らそうとしても減らせない、生活に支障が出ている、といった状態が続くときは、買い物依存の特徴に近くなります。
買い物依存の人は、どのくらいいる?
16か国の40研究をまとめたメタ分析では、代表性のある成人の調査で4.9%でした。大学生では8.3%と高めでした。ただし研究ごとに測り方が違い、数字には幅があります。
買い物依存かどうか、自分で確かめる方法は?
ベルゲン買い物依存尺度の7項目が参考になります。過去12か月について、4項目以上に「そう思う」以上なら仮の目安とされています。診断ではないため、気になるときは医療機関などの専門家に相談してください。
出典
- Serfas, B. G., Büttner, O. B., & Florack, A. (2014). Eyes wide shopped: shopping situations trigger arousal in impulsive buyers. PLoS ONE, 9(12), e114593.(質問票の原典: Rook, D. W., & Fisher, R. J. (1995). Journal of Consumer Research, 22(3), 305–313.) https://doi.org/10.1371/journal.pone.0114593
- Aquino, S. D., & Lins, S. (2023). The personality puzzle: a comprehensive analysis of its impact on three buying behaviors. Frontiers in Psychiatry, 14, 1179257. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2023.1179257
- Andreassen, C. S., Griffiths, M. D., Pallesen, S., Bilder, R. M., Torsheim, T., & Aboujaoude, E. (2015). The Bergen Shopping Addiction Scale: reliability and validity of a brief screening test. Frontiers in Psychology, 6, 1374. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2015.01374
- Maraz, A., Griffiths, M. D., & Demetrovics, Z. (2016). The prevalence of compulsive buying: a meta-analysis. Addiction, 111(3), 408–419. https://doi.org/10.1111/add.13223
- Müller, A., Laskowski, N. M., Trotzke, P., et al. (2021). Proposed diagnostic criteria for compulsive buying-shopping disorder: A Delphi expert consensus study. Journal of Behavioral Addictions, 10(2), 208–222. https://doi.org/10.1556/2006.2021.00013


