浪費・衝動買い

まとめ買いは本当に得か。大容量パックが消費量を増やす「容量効果」の研究

約5分で読めます 出典照合済み(2026-10-07)

保存食が並ぶパントリーの棚
Photo: USDAgov / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

大容量パックや「2個買うと1個引き」のようなまとめ買いは、単価が下がるので「お得」に見えます。でも気づけば、ひとりでは食べきれないほどのお菓子や、使い切れなかった調味料が棚に残っていることもあります。まとめ買いが本当に「得」になるかどうかは、安さだけでは決まらないことが、複数の研究からわかっています。

3行でわかる

  1. 同じ量のチョコ菓子を小さく分けて配った実験では、大きいまま配ったときより食べた量が約3分の1少なかった。
  2. イギリスの購買データの分析では、「セット割引」などのまとめ買い促進が、1回あたりの購入量を最大で22.3%増やしていたと推計された。
  3. 大学食堂の実験では、割引で食事をした人の食べ残しの割合が30.6%と、割引なしの24.9%より高かった。

01安さだけでは「得」は決まらない

まとめ買いで単価が下がっても、1つが大きいほど食べる量が増えたり、割引で買った食べ物ほど残しやすくなったりするため、安さがそのまま「得」になるとは限らない。

1つの単位(1本・1袋)が大きいと、「このくらい食べていい量だ」という目安も大きくなりやすいと考えられています(ユニットバイアス)。さらに割引は「お得に手に入った」「手元に余裕がある」という感覚を生み、食べ物を捨てることへのためらいを減らすことが実験で示されています。単価の安さだけに注目すると、容量や消費のペースという別の要因を見落としやすくなります。

02科学的にわかっていること

1つが大きいほど食べる量が増えること、まとめ買い促進が1回の購入量を増やすこと、割引が食べ残しを増やすことが、それぞれ別の研究で示されている。

Kontor・Soós・Balsa-Budai・Kovács・Szakály(2025)[1]

ハンガリーの消費者に、ほぼ同じ量(約65g)のチョコレート菓子を「大きい3本」か「小さい13個」に分けて配り、実際に食べた量を計量した実験。包装ありの条件では、大きいほうを渡された人は平均49.3g(276kcal)食べたのに対し、小さいほうは33.6g(188kcal)だった。著者は、小さく分けると包装の有無にかかわらず摂取カロリーが約3分の1少なかったとまとめている。包装なしの小さいほうを渡された人は、実際に食べた量(164kcal)の2倍近く(327.9kcal)を食べたと見積もっていた。

対象: ハンガリー2都市の消費者32人(健康志向・味志向の各グループ、1条件あたり8人) / 限界: 小規模な実験で、対象はチョコレート菓子に限られる。調べたのはパッケージ全体の容量ではなく、1つ1つの大きさ。

Watt・Beckert・Smith・Cornelsen(2023)[2]

イギリスの小売店の家庭別購買データ(2016〜2017年)を分析した研究。モデルによる推計では、「2個でいくら」のようなまとめ買い促進があると、1回あたりの購入量が商品によって0.5〜22.3%増えていた。12品目中10品目では、価格そのものの値引きのほうが購入量への影響は大きかったが、まとめ買い促進にも購入量を増やす効果がみられた。著者は、値引きが家の買い置きを増やし、消費や廃棄を増やすと考察している。

対象: イギリスの大手スーパー5社での家庭別購買データ(12の食品・飲料カテゴリ) / 限界: 分析対象は主に高カロリーの食品・飲料で、他の商品カテゴリに当てはまるとは限らない。廃棄量そのものは測っていない。

Wang・Xu・Sarigöllü(2026)[3]

割引と食品の廃棄意向・実際の廃棄量を調べた4つの実験。大学の食堂で割引を使った実験では、割引を受けた人の食べ残し量は平均145.3g(廃棄率30.6%)で、割引を使わなかった人の115.0g(廃棄率24.9%)より多かった。割引によって「得した」「手元に余裕がある」という感覚が生まれ、食べられる物を捨てる意向が高まることが要因として示された。お金を「いくら払ったか」に注目させると、この効果は消えた。

対象: 中国の大学食堂の利用者166人(実測)と、シナリオを読んで答える実験3件(計803人、うち2件は主に大学生) / 限界: 中国国内での実験で、食文化の異なる国に当てはまるとは限らない。食堂の実験はまとめ買いではなく、1食の割引。

Cooper・Quested・Lanctuit・Zimmermann・Espinoza-Orias・Roulin(2018)[4]

イギリスの家庭で発生する食品廃棄を分析した研究。2012年のイギリスの家庭からの食品廃棄は年間700万トン(1人あたり110kg)にのぼり、食べられたはずの食品が購入量の約15%を占めていた。考察では別の報告をもとに、「3個で2個分の値段」のようなまとめ買い割引や大きな値引きが買いすぎと結びついていると指摘している。

対象: イギリス全体の家庭系食品廃棄データ(2012年) / 限界: イギリス国内のデータで、まとめ買いが原因の廃棄量は示されていない。

03今日からできる小さな一歩

買う前に使い切れる量かを確認し、大容量は小分けにし、割引表示より単価を見ることが、量に流されない助けになる。

1

買う前に「使い切れる量か」を1つ自問する

生鮮食品や消費期限の短いものは、まとめ買いの前に「いつまでに使い切るか」を思い浮かべてみます。

所要 10秒

2

大容量を買ったら最初に小分けする

袋や容器を開けたらすぐに1回分ずつ分けておくと、1つの大きさに流されて食べ過ぎることを防ぎやすくなります。

所要 5分

3

「お得」表示より単価を確認する

「2個でいくら引き」などの表示を見たら、まず100gあたり・1個あたりの単価を計算し、本当に安いかを確認します。

所要 30秒

04続けるためのコツ

使い切れなかった量を振り返る習慣を持つと、次に買う量を自分に合わせて調整しやすくなる。

05よくある質問

まとめ買い自体が悪いことなの?

まとめ買い自体が悪いわけではありません。洗剤や保存のきく食品なら、単価が下がる分だけ得になる場合もあります。生鮮食品や賞味期限が短いもの、お菓子のように「あるとつい手が伸びる」ものほど、食べ過ぎや廃棄に注意が必要です。

セールのときだけ気をつければいい?

中国の実験では、割引が「得した」「余裕がある」という感覚を生み、食べ物を捨てるためらいを減らしていました。「いくら節約したか」より「いくら払ったか」に目を向けると、この効果は消えました。セール品を買うときほど、支払った金額と使い切る予定を先に確かめておくと助けになります。

出典

  1. Kontor, E., Soós, M., Balsa-Budai, N., Kovács, S., & Szakály, Z. (2025). The unit size effect on chocolate consumption: How to make consumers eat less? Heliyon, 11(1), e41139. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11719318/
  2. Watt, T., Beckert, W., Smith, R., & Cornelsen, L. (2023). The impact of price promotions on sales of unhealthy food and drink products in British retail stores. Health Economics, 32(1), 25-46. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10092217/
  3. Wang, Y., Xu, W., & Sarigöllü, E. (2026). Do Promotions Make Consumers More Wasteful? The Effect of Price Promotion on Consumer Food Waste Behavior. Behavioral Sciences, 16(4), 495. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13114224/
  4. Cooper, K. A., Quested, T. E., Lanctuit, H., Zimmermann, D., Espinoza-Orias, N., & Roulin, A. (2018). Nutrition in the Bin: A Nutritional and Environmental Assessment of Food Wasted in the UK. Frontiers in Nutrition, 5, 19. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5882835/