見栄や付き合いの出費を確かめるチェック表と、1年でいくらの計算表。「誰に見せる?」「SNSの直後?」を数える

見栄や付き合いの出費は、1回ごとには「仕方ない」と思える額です。だから、まとめて数えないと大きさが見えません。この記事は、払う前に使う7項目のチェック表と、1年分を出す計算表を用意しました。研究では、払った記録を誰が見るかで払う額が変わり、SNSを5分見ただけで目立つロゴを選びやすくなりました。
3行でわかる
- 払う前に、7項目のチェック表で「誰に見せるか」「SNSを見た直後か」などの場面を数える。2つ以上なら、その場で決めずに一晩おく。
- 米国の大学生261人の実験では、支払いの記録が友人に見える設定だと、自分だけに見える設定より、日用品に払ってよい額が1品あたり平均0.44ドル低かった。見られ方で払う額は動く。
- 1年の計算表に「実際に払った額」と「見せない前提なら払う額」を並べると、見栄の上乗せ分が金額でわかる。
01 悩みの正体見栄の出費は、なぜ自分で気づきにくい?
見栄の出費が気づきにくいのは、払う額が「物の値打ち」だけでなく「誰に見られるか」で動くから。しかも1回ずつは小さく、場面ごとに理由がつくので、まとめて数えないと大きさが見えない。
自分に比べるくせがあるかは8つの質問で振り返れます。この記事は、その次の段階です。実際の出費を前に、払う前に確かめる表と、1年分を出す表を使います。
02 科学的にわかっていること人の目やSNSで、払う額は変わる?
変わる。支払いが誰に見えるか、SNSを見た直後か、周りとの差を意識したかで、払う額や見せる物の選び方が動くことが、米国・中国・スペインの実験で示された。どれも小さめの実験で、場面ごとの傾向として読む。
Kiernan・Debnam Guzman(2026)[1]
米国北東部の15大学の学生261人が、ノートやペン、飲み物など10種類の日用品を実際に買える実験に参加した。支払い方法と、支払いの記録が誰に見えるかを無作為に割り当てた。記録が友人に見える設定では、自分だけに見える設定より、払ってよい額が1品あたり平均0.44ドル低かった。誰でも見られる設定では差がなかった。
対象: 2021年1〜2月の米国の大学生(コロナ禍で節約が周りの空気だった時期) / 限界: 差は統計的には弱め。周りが節約志向だったので額が下がったと著者らは考えている。周りの空気が違えば、結果も違う可能性がある。
Yang ら(2025)[2]
中国の大学生203人のうち、半数はフォローしている人のSNS投稿を5分眺め、残りはニュースサイトを5分見た。SNSを眺めた人の方が、同じ値段のパーカーで大きなロゴの方を選ぶ傾向が強かった。別の163人の実験では、この傾向は「自分は周りより下だ」と感じさせられた組でだけ見られた。
対象: 中国の大学生(3つの研究で138人・203人・163人) / 限界: 仮の買い物の質問で、実際に買ったわけではない。
Velandia-Morales ら(2021)[3]
スペインの一般の252人に、地域の格差が大きいという記事か、小さいという記事を読んでもらった。格差が大きい記事を読んだ人は、地位を示す物を買いたい気持ち(平均4.93対4.37)と、借金に寛容な考え(2.89対2.61)がどちらも高かった。
対象: スペインの一般の人(記事はアンダルシア地方の格差についての架空のもの) / 限界: 作った記事を読んだ直後の気持ちの測定で、差は小さい。
Zhang ら(2022)[4]
中国の大学生581人の調査では、「人に見せて目立ちたい」気持ちの点数(9段階)が1点高いと、学生向けのローンを使ったことがある確率が5.5ポイント高かった。「周りに合わせたい」気持ちには、はっきりした関連がなかった。
対象: 2021年のオンライン調査 / 限界: 一時点の調査で、気持ちがローンの原因とまでは言えない。
03 今日からできる小さな一歩見栄の出費を、払う前にどう確かめる?
見栄の出費は、払う前に下の7項目のうち当てはまる数を数えて確かめる。2つ以上なら、その場で決めず一晩おく。4つ以上なら、金額の上限を先に決めてから行く。
| 番号 | 払う前に確かめること | もとにした研究 |
|---|---|---|
| 1 | 買う物や払う額を、「誰に見られるか」を考えて決めていない? | 支払いの見え方で払う額が変わった実験 [1] |
| 2 | SNSや知人の投稿を見た直後に、欲しくなっていない? | 5分のSNSで目立つロゴを選びやすくなった実験 [2] |
| 3 | いま「自分は周りより下だ」と感じていない? | そう感じた組でだけ、見せる消費が増えた実験 [2] |
| 4 | 人との差や格差の話を見聞きした後ではない? | 格差の記事で地位を示す物への関心が上がった実験 [3] |
| 5 | その出費を、後払い・分割・借入れでまかなおうとしていない? | 目立ちたい気持ちと学生ローンの利用の関連 [4] |
| 6 | 「乗り遅れたくない」「自分だけ行かないのは嫌だ」が主な理由? | 取り残される不安が強い人ほど、お金の面のゆとり感が低かった調査 [5] |
| 7 | 誰にも見せない前提でも、同じ額を払う? | 1〜6の場面を裏返して確かめる、この記事の項目 |
7だけは「いいえ」を1つと数えます。数の目安は次のとおりです。研究で決められた基準ではなく、この記事で作った目安です。
- 0〜1つ: 自分で選んだ出費の可能性が高い。そのまま払ってよい。
- 2〜3つ: その場では決めない。「明日の朝、もう一度考える」と一晩おく。
- 4つ以上: 次の誘いや買い物の前に、1回あたりの上限額を決めてから出かける。
この表をスマホに保存する
誘いの連絡が来たときや、カートに入れたときに開けるようにします。
所要 1分
払う前に、当てはまる数を数える
7項目を上から読み、当てはまる数を指で数えます。数が2つ以上なら、返事や購入を翌日に回します。
所要 1分
月に1回、下の計算表で1年分を出す
先月の明細から、付き合いや見せるための出費を拾い、計算表に入れます。
所要 15分
04 続けるためのコツ見栄の出費は、1年でいくらになる?
見栄の出費は、1回の額×月の回数×12か月で1年分を出し、「見せない前提なら払う額」と並べると上乗せ分がわかる。例の数字では、1年で約16万円が見栄の上乗せだった。
左の2列に自分の数字を入れます。例の数字は計算のしかたを示すための仮の値で、平均ではありません。
| 出費の種類 | 1回の額×月の回数 | 1年分(×12) | 見せない前提なら1年で | 上乗せ分 |
|---|---|---|---|---|
| 飲み会・食事会 | 例: 5,000円×2回 | 120,000円 | 例: 3,000円×1回=36,000円 | 84,000円 |
| 贈り物・お祝い・おごり | 例: 3,000円×1回 | 36,000円 | 例: 2,000円×1回=24,000円 | 12,000円 |
| 人に見せる前提で買った服・小物 | 例: 8,000円×1回 | 96,000円 | 例: 4,000円×1回=48,000円 | 48,000円 |
| 投稿するための外食・お出かけ | 例: 2,000円×1回 | 24,000円 | 例: 1,000円×1回=12,000円 | 12,000円 |
| 合計 | ― | 276,000円 | 120,000円 | 156,000円 |
- 全部をゼロにしない。付き合いは人とのつながりでもあります。減らす対象は、上乗せ分の大きい1行だけにします。
- 上乗せ分を「何に使いたいか」と並べる。156,000円なら、旅行1回分なのか、貯金なのか。代わりの使い道を1つ書くと、見栄の出費を選び直しやすくなります。
- SNSを見た後の30分は買わない。表の2・3に当てはまりやすい時間帯です。比べる気持ちが落ち着く練習は感謝・自分への思いやりの研究で紹介しました。
- 使いすぎてしまった月は、責めずに立て直す。請求が苦しいときの手順と相談先は見栄や付き合いで使いすぎたらにまとめました。比べると出費が増える仕組みは社会的比較の心理で読めます。
05よくある質問
見栄の出費かどうか、どう見分ければいい?
「誰にも見せない前提でも、同じ額を払うか」を考えるのが一番わかりやすい方法です。この記事の7項目のチェック表で、SNSを見た直後か、人との差を意識しているかなども数えます。2つ以上当てはまったら、その場で決めずに一晩おきます。
付き合いの出費は、1年でどれくらいになる?
人によって大きく違うので、自分の数字で出すのが確実です。1回の額×月の回数×12か月で計算します。例えば1回5,000円の飲み会が月2回なら、1年で120,000円です。
人に見られていると、本当に払う額は変わるの?
変わるという実験があります。米国の大学生261人の実験では、支払いの記録が友人に見える設定だと、自分だけに見える設定より、日用品に払ってよい額が1品あたり平均0.44ドル低くなりました。周りが節約志向の時期だったため下がったと考えられており、周りの空気が違えば結果も変わる可能性があります。
SNSを見ると、なぜブランド品が欲しくなる?
人の投稿を見ると、自分が劣っていると感じやすくなるためと考えられています。中国の大学生の実験では、SNSを5分眺めた人は大きなロゴの服を選ぶ傾向が強まりました。この傾向は「自分は周りより下だ」と感じた人でだけ見られました。
出典
- Kiernan, E. A., & Debnam Guzman, J. (2026). Paying in public: Peer effects, impression management, and willingness to pay on digital payment platforms. PLOS One, 21(7), e0340550. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0340550
- Yang, X., Wang, X., Yu, J., & Gao, J. (2025). Why does browsing social networking sites increase conspicuous consumption? The effects of relative deprivation and subjective socioeconomic status. BMC Psychology, 13, 300. https://doi.org/10.1186/s40359-025-02557-8
- Velandia-Morales, A., Rodríguez-Bailón, R., & Martínez, R. (2021). Economic Inequality Increases the Preference for Status Consumption. Frontiers in Psychology, 12, 809101. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.809101
- Zhang, Q., Zhang, M., Cheng, Z., & Zhao, Y. (2022). Exploring the impact of a conspicuous identity on college students' campus loans: Evidence from China. Frontiers in Psychology, 13, 967568. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.967568
- Bartosiak, A., Lee, J. E., & Loibl, C. (2025). Fear of missing out, social media influencers, and the social, psychological and financial wellbeing of young consumers. PLOS One, 20(4), e0319034. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0319034


