お金と幸福度

選択肢が多すぎると、なぜ選べなくなるのか。「選択のパラドックス」の研究

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Photo: ccarlstead / CC BY 2.0 / Flickr
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

スマホのプランや保険、家電を選ぼうとして、比較サイトを見続けるうちに疲れて、結局決められなかった。あるいは、選んだ後に「別の方がよかったかも」と後悔した。そんな経験はないでしょうか。研究では、選択肢が多すぎると選ぶ気持ちや満足が下がる場合があることが示される一方、その効果はいつも起きるわけではないこともわかってきました。

3行でわかる

  1. スーパーの試食売り場の実験では、6種類のジャムを並べた方が、24種類を並べたときより買う人の割合が多かった。少ない選択肢から選んだ人の方が、満足も高かった。
  2. 50の実験(5,036人)をまとめた分析では、選択肢が多いことの影響は平均するとほぼゼロで、研究によって結果が大きくばらついていた。
  3. 約80万人の従業員のデータでは、選べる投資信託が少ない年金制度の方が、10本以上ある制度より加入率が高かった。

01「選択肢は多いほどいい」とは限らない

選択肢が多すぎると、比べる手間が増え、「もっといいものがあったかも」という後悔も生まれやすくなります。ただし、いつもそうなるわけではありません。

選択肢が多いことは、一般には良いことだと考えられています。しかし、選ぶものが増えるほど、一つひとつを比べる負担が大きくなります。

その結果、選ぶこと自体をやめてしまったり、選んだ後に「ほかの方がよかったのでは」と考えて満足が下がったりすることがあります。これは「選択のパラドックス」や「選択過多」と呼ばれます。

一方で、その後の研究では、選択肢が多くても困らない場合や、むしろ選びやすくなる場合もあることがわかってきました。好みがはっきりしているか、比べ方がわかりやすいかなど、条件によって結果が変わると考えられています。

02研究でわかっていること

選択肢の多さで選ぶ意欲や満足が下がった実験がある一方、多くの実験をまとめると平均的な影響はほぼゼロで、条件によって結果が変わっていました。

Iyengar & Lepper(2000)[1]

3つの実験で、高級ジャムやチョコレート、授業の任意レポートについて、6種類から選ぶ場合と24〜30種類から選ぶ場合を比べた。少ない選択肢の方が、実際に買う人や取り組む人が多かった。少ない選択肢から選んだ人の方が、選んだものへの満足も高く、レポートの出来も良かった。

対象: スーパーの客と大学生などの3つの実験 / 限界: 下のメタ分析のように、同じ結果がいつも出るわけではない。

Scheibehenneら(2010)[2]

選択肢の多さの影響を調べた50の実験(63条件、5,036人)をまとめた。選択肢が多いことの影響は、平均するとほぼゼロだったが、研究によって結果が大きくばらついていた。選択肢の多さが確実に満足や選ぶ意欲を下げる条件は、はっきり特定できなかった。

対象: 50の実験、5,036人 / 限界: どんな条件で起きるかは、まだ研究が続いている。

Iyengarら(2004)[3]

約80万人の従業員の確定拠出年金のデータを調べた。選べる投資信託が少ない制度の方が、10本以上の選択肢がある制度より、制度に加入する人の割合が高かった。

対象: アメリカの約80万人の従業員 / 限界: 観察データで、選択肢の多さ以外の違いの影響もありうる(内容はペンシルベニア大学ウォートン校の年金研究会議で確認)。

03今日からできる小さな一歩

選択肢が多くて迷うときは、比べる前に「条件」を決め、候補を3つ程度に絞ってから選びます。

1

比べる前に、譲れない条件を3つ決める

値段の上限、絶対に必要な機能など、選ぶ前に条件を3つ書きます。条件に合わないものは最初から外します。

所要 5分

2

候補を3つに絞ってから比べる

比較サイトで全部を見比べるのではなく、条件に合うものから3つだけ選んで比べます。

所要 10分

3

「十分よいもの」で決める

最高のものを探し続けるより、条件を満たす「十分よいもの」が見つかったら決めます。選んだ後は、ほかの候補を見ないようにします。

所要 決めるだけ

04続けるためのコツ

選ぶのに疲れたら、今決めなくてもいいものは日を改めます。毎回完璧に選ぼうとしないことが、満足につながります。

05よくある質問

選択肢の多さについて、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。

選択肢が多いと、なぜ選べなくなるの?

比べる手間が増え、「もっといいものがあるかも」という気持ちが強くなるためと考えられています。ジャムの実験では、24種類より6種類の売り場の方が買う人が多くなりました。

選択のパラドックスは本当にあるの?

いつも起きるわけではありません。50の実験をまとめた分析では、選択肢の多さの影響は平均するとほぼゼロで、研究によって結果が大きく違っていました。

選んだ後に後悔しないコツは?

選ぶ前に条件を決め、候補を絞ってから選ぶことです。条件を満たす「十分よいもの」で決めると、後悔しにくくなります。

年金や保険の選択肢が多すぎて手続きできないときは?

約80万人のデータでは、選択肢が少ない制度の方が加入率が高い傾向がありました。迷いすぎて手続きを先延ばしにしないよう、まず標準的な選択肢から始めるのも一つの方法です。

出典

  1. Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995-1006. https://doi.org/10.1037/0022-3514.79.6.995
  2. Scheibehenne, B., Greifeneder, R., & Todd, P. M. (2010). Can There Ever Be Too Many Options? A Meta-Analytic Review of Choice Overload. Journal of Consumer Research, 37(3), 409-425. https://doi.org/10.1086/651235
  3. Iyengar, S. S., Huberman, G., & Jiang, W. (2004). How Much Choice is Too Much? Contributions to 401(k) Retirement Plans. In Pension Design and Structure. Oxford University Press.(内容はペンシルベニア大学ウォートン校 Pension Research Council で確認) https://pensionresearchcouncil.wharton.upenn.edu/?p=643