浪費・衝動買い

キャッシュレスで使いすぎないための工夫は?「いつもと違う出費」を先に考えて、来月の請求を見積もる研究

約8分で読めます 出典照合済み(2026-10-11)

カードを差し込んだ決済端末
Photo: Basile Morin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(家計・投資の助言ではありません。出典は末尾)。

カードやスマホ払いを使うと、気づいたら請求が思ったより多い。意志が弱いからではありません。人は来月の出費を「いつもの出費」だけで見積もりやすく、たまにある大きな出費を数え忘れるからです。研究で効果が確かめられた「見積もり方の工夫」を中心に、今日からできる4つの方法をまとめました。

3行でわかる

  1. カナダの187人の研究では、来月の出費の見積もりが実際より平均15.5%少なかった。人は「いつもの出費」だけを思い浮かべて見積もりやすい。
  2. 見積もる前に「来週がいつもと違いそうな理由」を考えると、見積もりが実際に近づいた。英国の1,738人では、ネットの買い物の見積もりが、何もしない人は32.2%少なかったが、理由を書いた人のずれは2.2%だった。
  3. アプリでお知らせを見せるだけでは、返済額ははっきり変わらなかった。見積もり・上限・確認の一手間を、自分で決めて続ける形にする。

01 悩みの正体キャッシュレスの請求は、なぜ思ったより多くなる?

キャッシュレスの請求が思ったより多くなるのは、払う痛みが小さいうえに、来月の出費を「いつもの出費」だけで見積もり、たまの大きな出費を数え忘れやすいからだ。

カード払いで払う痛みが小さくなる仕組みは現金よりカードで使いすぎるのはなぜ?で、自分のくせに気づく質問はキャッシュレスのくせに気づく9つの質問で扱いました。この記事は「どう防ぐか」に絞ります。

02 科学的にわかっていることキャッシュレスの使いすぎを防ぐ方法は、研究で確かめられている?

いちばん確かめられているのは、来月の出費を見積もる前に「いつもと違いそうな理由」を考える方法だ。支払いの瞬間の一手間は弱い証拠にとどまり、情報を見せるだけの方法は効果が小さかった。

32.2% → 2.2%英国の家計アプリ利用者で、ネットの買い物の見積もりのずれ。何もしない人は32.2%少なく、「いつもと違いそうな理由」を書いてから見積もった人は2.2%だった [1]

Howard ら(2022)[1]

10の研究(合計6,044人)で、人は将来の出費を少なく見積もることを示した。カナダの信用組合の187人では、1か月の見積もりが実際より平均15.5%少なく、63.2%の人が少なく見積もった。5週目に「来週の出費がいつもの週と違いそうな理由」を考えてもらうと、少なく見積もった人は、考えない人の66.2%に対して47.6%だった。

対象: カナダの信用組合の会員(平均51歳)、英国の家計アプリの利用者など / 限界: 見積もりが正確になることは示したが、実際の出費が減ったかまでは確かめていない。

Howard ら(2022)、英国の家計アプリでの実験 [1]

家計アプリの利用者1,738人に、翌週のネットの買い物か食料品の出費を見積もってもらった。ネットの買い物では、何もしない人は実際より32.2%少なく見積もったが、理由を1つ書いてから見積もった人の差は2.2%だった。食料品では、理由を書いても差がはっきりしなかった。

対象: 英国の家計アプリの利用者(平均41.6歳) / 限界: 出費の額にばらつきが大きい分野ほど効きやすく、毎週ほぼ同じ出費には効きにくい。

Batista ら(2026)[2]

オーストラリアの銀行で、カードの借金と預金を両方持つ12万5千人あまりを対象にした実験。アプリで「預金で返すと得」と知らせても、返済額は平均で約1.4%多いだけで、はっきりした差ではなかった。お知らせが表示されたのは約83%、返済画面へ進んだのは5%だった。

対象: 豪州の大手銀行の利用者 / 限界: 調べたのは借金の返し方で、買い物の使いすぎそのものではない。1つの銀行で1か月の実験。

Manshad・Brannon(2021)[3]

スマホ決済の瞬間に弱い振動を返すと、次の買い物で「使ってよい額」(0〜100ドル)が平均41.37ドルと、振動なしの50.65ドルより低かった。強い振動では、はっきりした差は出なかった。

対象: 米国の大学生158人 / 限界: 自分のお金を使うと想像した実験。全体の比較でははっきりした差が出ておらず、証拠は弱い。

Ma ら(2024)[4]

中国の研究で、現金と比べてスマホ払いで買う気持ちが強まる理由を調べた。お菓子や飲み物が高めの値段の条件では「払う痛み」が小さいことが関わっていたが、安い条件ではそうではなかった。安い条件では、商品の良いところに目が向きやすいことが関わっていた(著者はこれを支払いの「心地よさ」と呼んでいる)。

対象: 中国のオンライン調査の160人と、大学で視線を測る実験の59人 / 限界: 実際の購買記録ではなく、実験の場面での選択。

03 今日からできる小さな一歩キャッシュレスの使いすぎを防ぐには、何から始める?

まず来月の請求額を見積もる。その前に「来月がいつもと違いそうな理由」を3つ書く。次に、ネットの買い物とスマホ払いの見込みを分けて書き、月の途中で一度だけ明細と比べる。

見積もりに使う表です。研究では、理由を考えることで「たまにある出費」が思い出され、見積もりが実際に近づきました [1]。右の列は書き方の例です。

書くことやり方例
いつもの請求額先月の明細の合計を書くカード6万円、スマホ払い1万円
いつもと違いそうな理由(3つ)来月の予定・季節・壊れそうな物を思い出す友人の結婚式、年払いの更新、靴の買い替え
理由ごとの金額だいたいでよいので金額をつける3万円+1万2千円+8千円
来月の見込みいつもの額に理由の分を足す7万円+5万円=12万円
月の半ばの実績明細を開いて、ここまでの合計を書く15日時点で7万円
1

「いつもと違いそうな理由」を3つ書く

来月のカード・スマホ払いを見積もる前に、予定表を見ながら理由を3つ書きます。研究で使われた問いは「来週の出費が、いつもの週と違いそうな理由を考えてください」でした [1]。

所要 5分

2

来月の請求額を、理由の分も足して見積もる

いつもの額に、理由ごとの金額を足します。研究では、見積もりは平均で実際より少なく出ていました [1]。迷ったら多めに書きます。

所要 5分

3

ネットの買い物は別の行にする

英国の実験では、ネットの買い物は見積もり不足が大きく、理由を考える工夫が特によく効きました [1]。通販とアプリ内の支払いは、ほかと分けて見込みを書きます。

所要 3分

4

支払いの直前に、確認の一手間を足す

決済の確認画面や通知をオンにして、払う瞬間に「今、払った」とわかるようにします。振動の実験では効果の兆しがありましたが、証拠は弱いため [3]、見積もりの補助として使います。

所要 3分

04 続けるためのコツキャッシュレスの見直しを続けるには、どうすればいい?

見直しを続けるコツは、通知や残高を「見るだけ」で終わらせず、見積もりと月半ばの確認を決まった日の予定にすることだ。少額の払いも、まとめて見積もりに入れる。

05よくある質問

キャッシュレスで使いすぎないためには、まず何をすればいい?

来月のカードやスマホ払いの請求額を、先に見積もることです。見積もる前に「来月がいつもと違いそうな理由」を3つ書き出します。カナダと英国の研究では、この一手間で見積もりの不足が小さくなりました。

家計簿アプリで残高を見るだけでは足りない?

見るだけでは、行動が大きく変わらないことがあります。オーストラリアの銀行で約12万5千人にアプリでお知らせを出した実験(借金の返し方についての実験)では、返済額は約1.4%多いだけで、はっきりした差ではありませんでした。見積もりや上限など、自分で決める手順と組み合わせる方が向いています。

スマホ決済に「振動」や確認画面をつけると使いすぎを防げる?

可能性はありますが、証拠はまだ弱いです。米国の学生158人の実験では、弱い振動で「使ってよい額」が下がりましたが、強い振動では差がなく、買い物も想像上のものでした。確認の一手間は、試してみる価値のある工夫の1つにとどめてください。

数百円の少額払いでも、見積もりは必要?

必要です。中国の研究では、安い品のスマホ払いでは「払う痛み」より、商品の良いところに目が向きやすくなることが、買う気持ちに関わっていました。少額だから気にしない、が積み重なりやすいので、まとめて月の見積もりに入れます。

「キャッシュレス・分割・リボ」を順に読む
なぜ → 気づく → 工夫する(この記事) → やってしまったら → 使う
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出典

  1. Howard, R. C., Hardisty, D. J., Sussman, A. B., & Lukas, M. F. (2022). Understanding and Neutralizing the Expense Prediction Bias: The Role of Accessibility, Typicality, and Skewness. Journal of Marketing Research, 59(2), 435–452. https://doi.org/10.1177/00222437211068025
  2. Batista, R. M., Mao, E., Sussman, A. B., Mahoney, N., & Min, J. (2026). Disclosing the costs of co-holding liquid assets and high-interest debt has limited impact on behavior. PNAS Nexus, 5, pgag256. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag256
  3. Manshad, M. S., & Brannon, D. (2021). Haptic-payment: Exploring vibration feedback as a means of reducing overspending in mobile payment. Journal of Business Research, 122, 88–96. https://doi.org/10.1016/j.jbusres.2020.08.049
  4. Ma, Q., Tan, Y., He, Y., Cheng, L., & Wang, M. (2024). Why does mobile payment promote purchases? Revisiting the pain of paying, and understanding the implicit pleasure via selective attention. PsyCh Journal, 13, 760–779. https://doi.org/10.1002/pchj.765