年に数回の出費(特別費)は月いくら積み立てる?書き出す10項目のチェック表と月割りの計算表

毎月の家計は回っているのに、車検や結婚式、帰省が重なった月だけ赤字になる。そんな家計は少なくありません。原因は使いすぎより、年に数回しか来ない出費が予算に入っていないことです。この記事は、特別費を書き出す10項目のチェック表と、年額を月割りにする計算表を用意しました。研究では、人は先の出費を少なめに見積もり、家計を年単位で考える人はごく少数でした。
3行でわかる
- 特別費は、10項目のチェック表で1年分を書き出し、年額÷12を毎月取り分けると、来る月に慌てずに済む。
- 人は来週の出費を、実際より少なく予想しやすい。節約したい気持ちが強いほど予想は下がるが、実際の出費は減っていなかった。
- 米国の給付受給者499人の調査では、年単位で家計を考える人は0.6%だけで、週単位28.3%、月単位39.5%だった。年の出費は、ふだん考える月の単位に直すと扱いやすい。
01 悩みの正体特別費の月だけ、なぜ赤字になる?
特別費の月に赤字になるのは、年に数回しか来ない出費が、ふだんの月の予算に入っていないから。人は家計を週や月の単位で考え、先の出費を少なめに見積もるため、まれな出費ほど抜け落ちやすい。
家計簿が続かない理由は家計簿と予算の研究で、目的ごとにお金を分けると使いにくくなる仕組みは封筒で仕切る貯金の記事で紹介しました。この記事は、そのうち「年に数回の出費」に絞って使う表です。
02 科学的にわかっていることまれな出費は、なぜ見積もりから漏れる?
まれな出費が漏れるのは、人がもともと先の出費を少なく予想し、家計を月単位で考え、まれな出費を「例外」として予算の外に置きやすいから。どれも研究で示された傾向で、年額を月の単位に直す工夫と相性がよい。
Peetz・Buehler(2009)[1]
4つの研究で、人は翌週の出費を、実際に使った額や前の週に使ったと覚えている額よりかなり少なく予想した。節約したい気持ちが強い人ほど予想は低かったが、実際の出費は変わらなかった。願望が予想を引き下げ、ずれを生んでいた。
対象: 4つの研究の参加者 / 限界: 論文の要旨で確認できた内容で、人数や金額の差はこの記事では扱わない。
De La Rosa ら(2022)[2]
米国の給付受給者499人の事前調査では、年単位で家計を考える人は0.6%で、週単位は28.3%、月単位は39.5%だった。84.8%は「1月1日に6万ドル」より「毎月5,000ドルを1年」を選んだ。続く実験では、子ども向けの税額控除の額を月や週の単位で伝えると、年の単位で伝えた場合より申請のページを訪れる人が多かった(月単位31.7%対年単位27.4%、8,248人)。
対象: 米国の低所得の人(実験1・2で計16,696人) / 限界: 測ったのはサイトの訪問やクリックで、実際の申請ではない。扱ったのは受け取るお金で、出費ではない。
Sussman・Sharma・Alter(2015)[3]
同じ寄付でも「まれで、めったにない出費」として示すと、「ふだんの出費」として示すより寄付が増え、人は予算への影響をあまり考えなくなった。5つの実験室と現場の実験で確かめられた。まれな出費は、予算の外にあるもののように扱われやすい。
対象: 5つの実験の参加者 / 限界: 寄付についての研究で、家計の特別費そのものを調べたものではない。
Peetz・Robson・Xuereb(2021)[4]
982人の調査では、月ごとの収入の変動が大きい人ほど、まさかの出費への備えを計画していなかった。149人の実験で、報酬を変動する形で受け取る組に割り当てられた人は、安定した形の組より報酬を貯めなかった。
対象: 米国のオンライン参加者982人の調査と、カナダの地域住民149人の実験 / 限界: 調査は一時点のもので、実験は作業の場面を作ったもの。
03 今日からできる小さな一歩特別費は、どう書き出して月割りにする?
特別費は、下の10項目を上から読み、去年の明細や手帳を見て当てはまる出費と金額を書き出す。合計を12で割った額が、毎月取り分ける額になる。
| 番号 | 特別費の種類 | 思い出すヒント |
|---|---|---|
| 1 | 年1回の税金・保険料 | 自動車税、年払いの保険、固定資産税など |
| 2 | 車検・免許や資格の更新 | 2年ごとなら、1回の額を2で割って1年分にする |
| 3 | 冠婚葬祭 | 去年に何回あったか。お祝い・香典・服装や移動の費用も |
| 4 | 帰省・旅行 | 交通費・宿泊費・手土産 |
| 5 | 家電・家具の買い替え | 壊れそうな物と、およその値段 |
| 6 | 医療・歯科・メガネ | 定期的な検診や、作り替えの時期 |
| 7 | 子どもや家族の行事 | 入学・進級の準備、習い事の発表会、修学旅行 |
| 8 | 年会費・年払いの契約 | カードの年会費、年払いのサブスク、会員費 |
| 9 | 季節の衣類・寝具 | 冬物のコート、子どもの靴の買い替え |
| 10 | 贈り物・記念日 | 誕生日、お歳暮やお中元、季節の行事 |
次に、書き出した額を計算表に入れます。下の数字は計算のしかたを示すための例で、平均や相場ではありません。
| 特別費 | 1回の額×年の回数 | 1年分 | 来る月 | 毎月の取り分け(÷12) |
|---|---|---|---|---|
| 例: 自動車税 | 30,500円×1回 | 30,500円 | 5月 | 約2,542円 |
| 例: 車検(2年に1回) | 100,000円÷2 | 50,000円 | 来年3月 | 約4,167円 |
| 例: 冠婚葬祭 | 30,000円×2回 | 60,000円 | 未定 | 5,000円 |
| 例: 帰省 | 40,000円×2回 | 80,000円 | 8月・12月 | 約6,667円 |
| 例: 家電の買い替え | 60,000円×1回 | 60,000円 | 未定 | 5,000円 |
| 合計 | ― | 280,500円 | ― | 約23,375円 |
例では、毎月約2万3千円が特別費のための額です。この額を月の予算に入れずにいると、来る月ごとに数万円の赤字が出ます。
10項目を読み、去年の出費を書き出す
カード明細や手帳、写真の日付を見て、当てはまる出費と金額をメモします。わからない額は、少し多めに書きます。
所要 20分
合計を12で割り、毎月の取り分けを決める
計算表の右端の合計が、毎月よけておく額です。一度に無理なら、まず半分から始めます。
所要 5分
給料日に、特別費の分を別の口座や袋に移す
ふだんの生活費と混ざらないように、場所を分けます。来る月は計算表の「来る月」の列で確かめます。
所要 月1回5分
04 続けるためのコツ特別費の積み立てを崩さずに続けるには?
特別費の積み立ては、見積もりを少し多めにし、年に1回は計算表を去年の実際の額で直すと続けやすい。節約したい気持ちで見積もりを下げないことが、ずれを防ぐ近道になる。
- 見積もりは「願い」でなく「去年の実績」で書く。節約したい気持ちが強いほど、出費の予想は下がりやすい[1]。去年の明細の額を基準にします。
- 「今年は特別」と思った出費も表に足す。まれな出費は予算の外に置かれやすい[3]。思いがけない出費が来たら、来年の計算表の行に加えます。
- 収入が月ごとに変わる人は、多い月に多めに移す。収入の変動が大きい人ほど、備えの計画が後回しになりやすいという調査があります[4]。
- 取り分けたお金で足りなかった月も、責めずに表を直す。足りなかった額が、次の1年の見積もりを正確にする材料になります。手元のお金が生活費の何か月分あるかは貯金の月数の計算表で、支払い忘れを防ぐ工夫はリマインダーの研究で読めます。
05よくある質問
特別費とは?どんな出費が入る?
特別費は、毎月ではなく年に数回だけ来る出費のことです。税金や年払いの保険、車検、冠婚葬祭、帰省、家電の買い替え、年会費などが入ります。この記事の10項目のチェック表で書き出すと、抜けを減らせます。
特別費は月いくら積み立てればいい?
決まった金額はなく、自分の1年分の特別費を12で割った額が目安です。例えば1年分が28万500円なら、毎月約2万3千円です。一度に難しければ、半分から始めても構いません。
なぜ出費を少なく見積もってしまうの?
研究では、人は翌週の出費を実際より少なく予想しやすいことがわかっています。節約したい気持ちが強いほど予想は下がりましたが、実際の出費は減っていませんでした。去年の実際の額を基準にすると、このずれを防ぎやすくなります。
家計は年単位で考えた方がいい?
多くの人は週や月の単位で家計を考えています。米国の給付受給者499人の調査では、年単位は0.6%だけでした。年の出費は月の額に直し、ふだんの月の予算に組み込む方が扱いやすいと考えられます。
出典
- Peetz, J., & Buehler, R. (2009). Is there a budget fallacy? The role of savings goals in the prediction of personal spending. Personality and Social Psychology Bulletin, 35(12), 1579-1591. https://doi.org/10.1177/0146167209345160
- De La Rosa, W., Sussman, A. B., Giannella, E., & Hell, M. (2022). Communicating amounts in terms of commonly used budgeting periods increases intentions to claim government benefits. Proceedings of the National Academy of Sciences, 119(37), e2205877119. https://doi.org/10.1073/pnas.2205877119
- Sussman, A. B., Sharma, E., & Alter, A. L. (2015). Framing charitable donations as exceptional expenses increases giving. Journal of Experimental Psychology: Applied, 21(2), 130-139. https://doi.org/10.1037/xap0000047
- Peetz, J., Robson, J., & Xuereb, S. (2021). The Role of Income Volatility and Perceived Locus of Control in Financial Planning Decisions. Frontiers in Psychology, 12, 638043. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.638043

