友人や家族とのお金の貸し借りが、関係をぎくしゃくさせるのはなぜか

友人から「少しだけ貸してほしい」と頼まれて、断れずに貸してしまった。家族にお金を借りたけれど、返すまで気まずさが続いている。お金の貸し借りは、関係が近いほど難しいものです。研究では、身内からの借金は頼りやすい一方で、関係や信用をめぐる大きな不安を生むことがわかってきました。
3行でわかる
- アメリカの低所得の借り手16人への聞き取りでは、身内からの借金は銀行などより頼りやすいと感じられていた。一方で、関係がこじれないか、自分の信用が落ちないかを強く心配していた。
- ペイデイローン(高金利の短期の借金)の利用者40人への聞き取りでは、家族や友人との関係を緊張させないために、あえて高金利の借金を選ぶ人もいた。
- 経済学の研究では、家族や友人からのお金は安く借りられる一方、関係への配慮という「見えないコスト」があるため、多くの人は正式な借り入れの方を好むと説明されている。
01身内のお金は「安い」けれど、見えないコストがある
家族や友人とのお金の貸し借りには、金利のような目に見えるコストのほかに、気まずさや信用への不安といった見えないコストがあります。
身内からお金を借りると、金利がかからなかったり、返済を待ってもらえたりすることがあります。その点では、銀行などより有利に見えます。
しかし、借りた側は、返すまで相手に負い目を感じ続けます。貸した側も、返してもらえるか、催促していいのか悩みます。お金のやりとりに、感情や関係が絡むためです。
研究では、こうした関係への配慮が、身内からの借金の「見えないコスト」になっていると考えられています。
02研究でわかっていること
身内からの借金は頼りやすい一方、関係や信用への不安を生んでいました。関係を守るために、あえて高い借金を選ぶ人もいました。
Chandaら(2026)[1]
アメリカ・ウィスコンシン州の低所得の借り手16人に聞き取り調査をした。身内からの借金は、金融機関からの借金より良い選択だと感じられていた。お金に余裕があり尊敬する家族や友人から借りることが多かったが、関係や自分の評判、自分への見方が損なわれないかを心配し、関係を保つための努力をしていた。
対象: 低所得の借り手16人への聞き取り / 限界: 少人数の質的研究で、一般化には限りがある。
Amorimら(2026)[2]
ペイデイローンの利用者40人に聞き取り調査をした。利用者は、家族や友人との関係を緊張させないことや、自立した自分でいることを望み、そのために高金利の借金を選ぶことがあった。
対象: アメリカのペイデイローン利用者40人への聞き取り / 限界: 少人数の質的研究。
Lee & Persson(2012)[3]
家族や友人からの資金は、金利が低いか、ときには損をしてまで貸してもらえる一方、多くの人は正式な借り入れを好むという現象を、経済学のモデルで説明した。身内のお金には、困ったときの助け合いが減るなどの見えないコストがあると考えた。
対象: 理論モデルの研究 / 限界: 実際の行動を直接測った研究ではない。
03今日からできる小さな一歩
貸すか借りるかを決める前に、「お金」と「関係」の両方を守る方法を考えます。
貸すなら「返ってこなくても困らない額」にする
友人や家族に貸すときは、返ってこなくても生活に困らない金額にとどめます。それ以上の額は、断ることも関係を守る選択です。
所要 判断するだけ
金額と返済日を書き残す
貸し借りをするときは、金額と返す日を、メモやメッセージで残しておきます。お互いの記憶違いによる気まずさを防げます。
所要 5分
断るときは理由を短く伝える
「今は貸せる余裕がない」など、短く正直に伝えます。相手を否定するのではなく、自分の事情として伝えます。
所要 数分
04続けるためのコツ
お金の貸し借りで関係がこじれるのは、誰のせいでもありません。お金と関係を分けて考える工夫が、両方を守る助けになります。
- 借りる側になったら、返済の予定を自分から伝えると、相手の不安を減らせます。
- 何度も頼まれるときは、お金以外の支え方(相談に乗る、窓口を一緒に調べるなど)を考えます。
- 貸したお金の催促は、責める言い方を避け、事実と予定を確認する形にします。
- 借金の返済に困っている、または貸したお金の返済でトラブルになっているときは、消費生活センター(188)や法テラスに相談できます。
05よくある質問
友人や家族とのお金の貸し借りについて、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
友人にお金を貸すと関係が壊れるのはなぜ?
お金のやりとりに、負い目や信用への不安などの感情が絡むためと考えられています。研究でも、身内から借りた人は関係や評判が損なわれないかを強く心配していました。
家族からお金を借りるのは悪いこと?
悪いことではありません。研究では、身内からの借金は頼りやすい選択肢と感じられていました。ただし、金額と返済日を明確にするなど、関係を守る工夫が大切です。
なぜ身内より銀行から借りる人がいるの?
身内のお金には、関係への配慮という見えないコストがあるためと考えられています。関係を緊張させないために、あえて高い借金を選ぶ人もいました。
お金を貸してと言われたら?
返ってこなくても困らない額にとどめるか、断ることも選択肢です。断るときは、自分の事情として短く伝えます。
出典
- Chanda, T., Houle, J. N., Vogel, L. K., Dwyer, R. E., & Berger, L. M. (2026). "First phone call is usually family": Informal Borrowing Among Low-Income Debtors. Journal of Marriage and Family, 88(1), 213-226. https://doi.org/10.1111/jomf.70007
- Amorim, M., Bea, M. D., & Aydagul, A. (2026). "It's a Last Resort. But It's a First Resort": A Relational Perspective of Payday Loan Use. The Sociological Quarterly, 67(2), 386-412. https://doi.org/10.1080/00380253.2026.2622465
- Lee, S., & Persson, P. (2012). Financing from Family and Friends. SSRN Working Paper. https://doi.org/10.2139/ssrn.2086625