お金のことでパートナーと揉めやすいのはなぜか。夫婦の口論と共同口座の研究

買い物の仕方や貯金の考え方で、パートナーと言い合いになる。同じ話で何度も揉めてしまう。お金のけんかは、どの家庭でも起こりうるものです。研究では、お金をめぐる口論は回数が特別多いわけではないものの、ほかの話題より長引き、解決しにくいことがわかっています。
3行でわかる
- 100組の夫婦が記録した748件の口論では、お金の口論は最も多い話題ではなかったが、ほかの話題より深刻で、くり返され、解決しにくかった。
- 4,574組の夫婦を追った調査では、お金の意見の食い違いは、ほかの種類の不一致より強く離婚を予測していた。
- 婚約中や新婚の夫婦を、共同の口座にお金をまとめる群と、別々に管理する群に分けた実験では、共同口座の夫婦だけが、2年間関係の質を保っていた。
01お金の口論は「多い」より「長引く」
お金の口論は、単なる金額の問題ではなく、「どう生きたいか」という価値観の違いがぶつかりやすいため、こじれやすいと考えられています。
お金の使い方には、安心したい、楽しみたい、相手に認められたいなど、その人の大切にしていることが表れます。そのため、お金の口論は、相手の価値観を否定されたように感じやすくなります。
また、お金の問題は毎月くり返し起こります。一度話し合っても、次の請求書や買い物のたびに同じ話題が戻ってきます。
研究では、お金の口論では解決しようとする努力が多く見られたにもかかわらず、結局解決しないまま終わることが多いという結果でした。
02研究でわかっていること
お金の口論は長引きやすく、離婚を最も強く予測する不一致でした。一方、お金を共同で管理すると関係の質が保たれた実験もあります。
Pappら(2009)[1]
夫婦100組に、家庭での口論を日記に記録してもらった(748件)。お金は最も多い口論の話題ではなかったが、お金の口論はほかの話題より深刻で、くり返されやすく、解決しようとする努力が多いにもかかわらず解決しないまま終わることが多かった。
対象: 夫婦100組、748件の口論 / 限界: 日記の記録にもとづく研究。
Dewら(2012)[2]
アメリカの全国調査で4,574組の夫婦を追跡した。お金の意見の食い違いは、夫・妻どちらの回答でも、ほかの種類の不一致より強く離婚を予測していた。家計の豊かさそのものは、お金の不一致を考えに入れると離婚と関係がなかった。
対象: アメリカの夫婦4,574組 / 限界: 観察研究で、不一致が離婚の原因と断定はできない。
Olsonら(2023)[3]
婚約中や新婚の夫婦を、共同の口座にお金をまとめる群、別々の口座で管理する群、何もしない群に分け、6回にわたって調べた。別々の群と何もしない群は、結婚後2年で一般的に見られる関係の質の低下が起きたが、共同口座の群は関係の質を保っていた。お金の扱いへの満足、目標のすり合わせ、見返りを求めずに助け合う関係が保たれたことが理由と考えられた。
対象: 婚約中・新婚の夫婦 / 限界: 新婚期の研究で、長く連れ添った夫婦に当てはまるかはわからない。
03今日からできる小さな一歩
お金の話は、もめる前に「ルールを決める時間」として設けます。全部をまとめなくても、共通の目標のためのお金を一緒に管理する方法があります。
月に1回「お金の作戦会議」を決める
口論のたびにお金の話をするのではなく、月に1回、落ち着いた時間にお金について話す日を決めます。
所要 30分
共通の目標を1つ決める
旅行、住まい、貯金額など、2人で達成したい目標を1つ決めます。目標が同じだと、お金の使い方の話もしやすくなります。
所要 15分
共通のお金だけでも一緒に管理する
全部をまとめるのが難しければ、生活費や共通の目標のための口座だけを一緒にします。共同口座で関係の質が保たれた実験があります。
所要 1時間
04続けるためのコツ
お金の考え方が違うのは当たり前のことです。どちらが正しいかを決めるより、2人のルールを一緒に作ることを目指します。
- 相手の使い方を責める言い方より、「私は〜が不安」と自分を主語にして伝えます。
- 自由に使えるお金をそれぞれに決めておくと、細かい使い方で揉めにくくなります。
- 大きな買い物の前には相談する、などのルールを先に決めておきます。
- お金の管理を一方的に取り上げられる、生活費を渡されないなどは、経済的な支配にあたることがあります。その場合はDV相談ナビ(#8008)に相談できます。借金で生活が苦しいときは、消費生活センター(188)に相談できます。
05よくある質問
夫婦・カップルのお金の揉めごとについて、よく検索される疑問に研究の範囲で答えます。
夫婦げんかの原因でお金は多いの?
100組の夫婦の記録では、お金は最も多い話題ではありませんでした。ただ、お金の口論はほかの話題より深刻で、くり返されやすく、解決しにくい傾向がありました。
お金の価値観の違いは離婚につながる?
4,574組の調査では、お金の意見の食い違いが、ほかの種類の不一致より強く離婚を予測していました。ただし、話し合い方や結婚の満足度を通じた関係でした。
夫婦の財布は一緒にした方がいい?
新婚の夫婦の実験では、共同口座にお金をまとめた夫婦だけが、2年間関係の質を保っていました。全部をまとめなくても、共通のお金を一緒に管理する方法もあります。
お金の話し合いで揉めないコツは?
口論の最中ではなく、落ち着いた時間に話す日を決めることです。共通の目標を決めると、お金の使い方の話もしやすくなります。
出典
- Papp, L. M., Cummings, E. M., & Goeke-Morey, M. C. (2009). For Richer, for Poorer: Money as a Topic of Marital Conflict in the Home. Family Relations, 58(1), 91-103. https://doi.org/10.1111/j.1741-3729.2008.00537.x
- Dew, J., Britt, S., & Huston, S. (2012). Examining the Relationship Between Financial Issues and Divorce. Family Relations, 61(4), 615-628. https://doi.org/10.1111/j.1741-3729.2012.00715.x
- Olson, J. G., Rick, S. I., Small, D. A., & Finkel, E. J. (2023). Common Cents: Bank Account Structure and Couples' Relationship Dynamics. Journal of Consumer Research, 50(4), 704-721. https://doi.org/10.1093/jcr/ucad020
